【5月27日 AFP】チリのハイメ・マニャリチ(Jaime Manalich)保健相は24日、性別適合手術を近く公的健康保険の適用対象とし、収入が限られている人々に「真の性同一性の回復」を認める方針を表明した。

 性別適合手術はこれまで私立病院のみで行われ、2万~3万ドル(約160~240万円)の費用がかかっていた。同相によると、これからは首都サンティアゴ(Santiago)やコンセプシオン(Concepcion)、バルパライソ(Valparaiso)の公立病院が手術を実施する。

「同性愛者の統合と解放のための運動(MOVILH)」幹部のロナンド・ヒメネス(Rolando Jimenez)氏がAFPに語ったところによると、こうした改革の前、低所得者が性別適合手術を受けられる可能性は皆無だった。今後は収入に応じて手術費が決まり、所得が最低水準の場合は無料となる。

 MOVILHによると、チリの人口170万人中、性別適合手術を受けた人々は推計3000~4000人に上る。

 保健省はこのほかにも差別対策として、血液バンクが性的指向を理由に献血を拒否することを禁止したり、トランスセクシュアルの人が病院で心理的に望む性別の患者と同室になるべきだとの判断を示している。

 チリは先日、性別や宗教に基づいた差別を禁止する法案を可決した。議会では現在、同性愛者のカップルにも夫婦と同等の権利を認めるドメスティック・パートナー法が審議されている。(c)AFP