【5月23日 AFP】民衆蜂起「アラブの春」で30年に及んだムバラク政権が昨年崩壊した後、初めてとなるエジプト大統領選の投票が23日に始まった。

 5000万人を超える有権者が12人の候補者から選ぶ。投票所は全国1万3000か所。2日間の日程で、27日には結果が判明する見込み。

 失脚したホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)前大統領(84)の後継を狙う候補者たちはイスラム原理主義者からイスラム穏健派、世俗主義者まで、それぞれが大きく異なるエジプトの未来図を掲げている。

 有力視されている候補者のうち世俗系の2人は、外相やアラブ連盟の事務局長を歴任したアムル・ムーサ(Amr Mussa)氏と、アハメド・シャフィク(Ahmed Shafiq)前首相。政治手腕や外交力などが評価されているが、共に前政権との結びつきが強いとの批判もある。一方、イスラム系は、イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」が擁立したムハンマド・モルシ(Mohammed Mursi)氏と、同胞団元幹部でより幅広い層に訴える候補を自認するアブドルムネイム・アブールフトゥーフ(Abdel Moneim Abul Fotouh)氏。

 反体制デモ参加者約850人の殺害指示などの罪で死刑を求刑され、6月2日の判決を待つムバラク前大統領は、入院中のカイロ(Cairo)郊外の軍病院で大統領選の行方を見ていると思われる。(c)AFP/Ines Bel Aiba and Samer al-Atrush