【5月16日 AFP】パリのシャンゼリゼ(Champs-Elysees)での就任パレードは豪雨に見舞われ、ドイツ初訪問では専用機が雷に打たれ、レッドカーペットでは世界で最も強い女性と衝突する――フランスのフランソワ・オランド(Francois Hollande)新大統領は就任初日からタフな1日を過ごした。
 
 ずぶぬれとなったパリでの就任パレードから数時間後、オランド大統領のライン川越えも「吉兆」とは程遠かった。アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相との初会談のためにベルリン(Berlin)へ向かった仏大統領専用機ファルコンは、100万分の1の確率で機体が雷に打たれ、「万が一のため」パリへ引き返さざるをえなかった。

 これだけでも十分ついていないとオランド氏は感じたかもしれないが、遅れてベルリンに到着してからも、天気運の悪さはついてまわった。欧州債務危機を打開するため、就任直後に早急に行った初訪問だったが、たった2時間前まで晴れ渡っていた空からは季節外れの霧雨が降り始め、1日に2度目のずぶぬれを予感させた。

 独首相官邸で迎えたメルケル氏は笑顔でリラックスした様子だった。一方のオランド氏は仏大統領として初の外国訪問で、時折微笑む程度でメルケル氏よりも緊張して見えた。2人は短く握手を交わしたが、オランド氏の前任者ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)前仏大統領とメルケル氏が交わしていたような親愛のキスはなく、そのまま軍楽隊の演奏をバックにレッドカーペットへと歩みを進めた。

 会談の準備過程では政策の方向性を異にする両者の衝突が懸念されていた。しかし2人は早くもレッドカーペット上で文字通り衝突し、メルケル首相がオランド大統領をそれとなく手で進行方向に押し戻す一幕がみられた。

 会談後の共同会見でメルケル首相は、大統領機が雷に打たれるという極めてまれな出来事にもかかわらず、オランド大統領がベルリン訪問を果たしたことは「両国の協力にとってきっと良い兆し」だと述べた。

 記者から何語で話したのかとの質問が飛ぶと、メルケル氏は、通訳者を待っている間にいくらか英語で会話しただけで、後は「大体それぞれの母語で話した」と答えた。(c)AFP/Nadege Puljak

【参考】BBCの動画(英語)
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