【5月10日 AFP】職権乱用罪で2011年10月に禁錮7年の有罪判決を受けて服役中のウクライナのユリヤ・ティモシェンコ(Yulia Tymoshenko)前首相が9日朝、病院へ移送された。

 AFP通信の記者は9日朝、複数の乗用車と救急車1台からなる車列を目撃したが、その後、これはティモシェンコ前首相を乗せた車列だったことが確認された。刑務所は、前首相は国際医療機関が勧めた治療を受けるため、同日午前7時(日本時間同日午後1時)に刑務所を出て、その1時間後に前首相が収容されていた刑務所と同じ東部ハルキフ(Kharkiv)にある病院に到着したと発表した。

 ティモシェンコ前首相は看守から暴力を受けたとして、これに抗議するため4月20日から20日間にわたってハンガーストライキをしていたが、病院に入ってハンガーストライキを一時停止した。医師は今後数日かけて通常の食事に戻していくと語った。前首相の娘によると、前首相はハンスト中に体重が10キロ減ったという。

 前首相の処遇をめぐって高まった外交的緊張が、ウクライナとポーランドが共催して6月に開幕するサッカー欧州選手権2012(UEFA Euro 2012)にも影を落とし、欧州連合(EU)の多くの加盟国の首脳が欧州選手権の観戦をボイコットする可能性も出てきていることから、ウクライナは事態打開を図ったものとみられる。ハルキフは、サッカー欧州選手権でウクライナ国内の試合が行われる4つの都市のうちの1つ。(c)AFP/Sergiy Bobok