北朝鮮の収容所、大半は政治犯ではなく貧困者か
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【5月3日 AFP】北朝鮮の政治犯収容所で近年、反体制活動を行ったためではなく、貧困ゆえに食料や仕事を求めて国外に脱出したことを理由に収容された例が大半になっているとの新たな報告を、韓国の国家人権委員会(National Human Rights Commission)が間もなく発表する。
AFPが入手した同報告書の抜粋によると、その他の理由にはさらに些細なものが多く、たとえば外国人と西洋風のダンスを踊ったために1期分の刑期を科された元女子学生や、韓国の歌を歌ったために投獄された学生などの例が挙げられている。
また、父親が当局の思想教育の場で故金日成(キム・イルソン、Kim Il-Sung)主席を「偉大なる指導者」と呼び忘れたために、一家全員が収容所へ送られた例もあった。
報告書は、北朝鮮全土に6か所ある政治犯収容所に収容された経験者を含む脱北者834人へのインタビューに基づいたもの。人権団体などによれば、そうした収容所には合わせて約20万人の「政治犯」が収容されているという。
報告書には1990年代半ば~2005年に収容された経験のある278人の名前と罪状に関する情報が掲載されている。このうち最も多かった収容理由は、食料や仕事を求めて国外脱出したためで、約60人だった。また元在日朝鮮人で、日本から渡り定住した人も27人含まれていた。
その他、キリスト教信仰を理由にされた人が5人、家族が犯した罪の「連座」が29人だった。また約30人が指導者の「権威に対する侮辱」や資本主義に対する称賛、国家機密の漏えい、汚職関与などで収容されていた。(c)AFP/Lim Chang-Won