【4月26日 AFP】米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は25日、中国・重慶(Chongqing)市共産党委員会書記を3月に解任された薄熙来(Bo Xilai)氏が、胡錦濤(Hu Jintao)国家主席ら共産党トップに対する大規模な盗聴網を所有しており、それが失脚の一因となったと報じた。

 薄氏は、革命歌の奨励などの毛沢東主義復活運動や犯罪撲滅キャンペーンで知られたカリスマ的政治家で、指揮した重慶市の汚職・組織犯罪の摘発は一般に非常に高く評価され、9人からなる共産党最高指導部の次期メンバー入りが有力視されていた。だが、2月に薄氏の右腕であった王立軍(Wang Lijun)重慶市副市長が米総領事館に駆け込み亡命を求めたとされるスキャンダルをきっかけに、権力の座から転落した。

 現在、薄氏には共産党内で汚職を婉曲(えんきょく)的に表す「重大な規律違反」の疑いで捜査対象になっているほか、妻の谷開来(Gu Kailai)氏は英国人ビジネスマン殺害に関与した容疑で拘束され、取り調べを受けている。

 だがNYT紙によれば、薄氏失脚のもう一つの大きな理由は、重慶市の広大な管轄内に薄氏が張り巡らせていた盗聴網にあるという。

 同紙が共産党関係者筋の情報として伝えたところによると、最高権力の座を視野に入れていた野心的な薄氏は、重慶市を訪れるほぼ全ての政府高官の電話を盗聴し、自分がどのように評価されているかを常に知りたがっていた。

 ところがあるとき、中央政府当局が使用した盗聴感知機器により、胡国家主席が重慶市内へかけた電話の通話が盗聴されていることが発覚。機密情報の取り扱いに厳格な中央政府が調査に乗り出し、薄氏失脚へとつながったという。(c)AFP

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