【4月5日 AFP】中国人芸術家の艾未未(アイ・ウェイウェイ、Ai Weiwei)氏(54)がこのほど、中国当局の24時間体制の監視を皮肉って北京(Beijing)の自宅に自ら監視ライブカメラを設置したが、即時撤去するよう当局から命令されたとAFPの取材に5日、明らかにした。

 艾氏は2008年の四川大地震での学校崩壊や2010年の上海高層ビル火災で独自調査を試みたことで当局に警戒されるようになり、前年4月から81日間にわたって当局に身柄を拘束された。同6月に釈放されたが1年間は保護観察期間とされ、北京外への移動は禁止。現在はほぼ24時間、警察の監視下に置かれている。

 艾氏は3日、自宅の寝室や机の脇などにライブカメラを計4台設置し、ウェブ中継を開始。AFPの取材に次のように説明した。「私の生活は、電話もパソコンも、常に監視だらけだ。オフィスも捜索を受け、毎日後をつけられている。自宅前にも監視カメラがある。それで思いついた。自宅にライブカメラを設置して、皆さんに私の行動を全てお見せしたらどうかと。同様に、第三者の誰か(中国当局)も透明性を示すよう期待している」
 
 だが5日、艾氏は当局から電話でライブカメラでの映像中継を即時停止するよう厳命されたとAFPに語った。理由は明らかにされなかったという。

「当局にはこう説明したのだが。あなた方は15台の監視カメラを私に向けていて、私が寝室に設置したカメラは(前年)拘束されていた81日間に私の頭上にあったものと全く同じものだ。つまり、私が何をしているかをあなた方が事細かに知ることができるよう、親切心からやっているのだ、と」(艾氏)

 艾氏がライブ映像を中継していたウェブサイト「http://weiweicam.com」は、4日夜以降、真っ白な画面しか見れなくなった。艾氏はツイッター(Twitter)でも「ライブカメラは閉鎖となりました。のぞき見をしていた皆さん、さようなら」と書き込み、当局から閉鎖命令があったことを知らせた。(c)AFP

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