【3月30日 AFP】アラブ連盟(Arab League)は29日、イラクの首都バグダッド(Baghdad)で首脳会議を開き、シリアのアサド政権に反体制派の弾圧停止を求める決議を採択した。決議は反体制派に結束を求めるとともに、各当事者に「国民的な真剣な対話」も求めた。

 バグダッドで同会議が開催されたのはサダム・フセイン(Saddam Hussein)元大統領時代の1990年以来22年ぶり。イラクのヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相はアラブ連盟の精神をうたい上げる演説を行った。

 アラブ連盟に加盟する21か国とパレスチナ解放機構(PLO)のうち、ホスト国イラクのほか9か国の首脳と国連(UN)の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長が出席した。アラブ連盟から参加資格を停止されているシリアは招かれなかった。湾岸諸国からの首脳の参加はクウェートのみで、サウジアラビアとカタールは特使の派遣にとどまった。

 シリアに強硬姿勢をとるカタールやサウジアラビアは、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領の退陣と反体制側への武器援助を求める一方、イラクなどは政治的手段による和解を主張している。イラクのマリキ首相は、自国の経験から外国からの武器支援はシリアを「代理戦争」に陥れる可能性があると懸念を示した。

■会議成功を評価

 首脳会議開催にあたり、イラクは過激派からの攻撃などに備え、治安要員10万人を動員。道路の大規模閉鎖や携帯電話網の遮断など厳重な警戒態勢で臨んだ。

 水も漏らさぬほどの警戒態勢を敷きながらも、ある警察官によると、警備が特に厳重なグリーンゾーン(Green Zone)に近いイラン大使館付近で迫撃砲による攻撃があった。この攻撃で大使館の建物が一部損傷したが、負傷者はいない。首脳会議はグリーンゾーンで開かれた。

 イラク内務省はウェブサイトで「首脳会議開催中の治安維持は成功だった」とするとともに、市民の「協力と忍耐」に謝意を表した。

 米政府もイラクでの首脳会議成功を称賛した。米国務省のマーク・トナー(Mark Toner)報道官は、会議の成功はイラクが中東や国際社会に貢献できることを示しており、イラクはここ数年で成し遂げたことを誇るべきだと述べた。(c)AFP/Wissam Keyrouz and Ali al-Saadi