【3月7日 AFP】エジプトのイスラム系政党ヌール党(Al-Nur)の人民議会(下院)議員が、車上強盗に遭って負傷したと話していたのは、鼻の整形手術を受けたことを隠すための狂言だったことが発覚し、議員辞職と離党に追い込まれた。

 鼻を包帯で覆ったアンワル・ビルキミ(Anwar al-Bilkimy)元議員は前週テレビで、銃を持った男らに襲われ、殴られた上に10万エジプトポンド(約134万円)を奪われたときのことを切々と語っていた。

 しかしビルキミ氏の鼻形成術を担当した首都カイロ(Cairo)郊外シェイク・ザイード(Sheikh Zayed)にある病院の医師やスタッフが、強盗事件が起きたとされたまさにその時間に、ビルキミ氏は手術を受けていたと暴露した。

 ヌール党はフェイスブック(Facebook)上の同党のサイトで声明を発表。5日ビルキミ氏のもとを訪れたエマド・アブデル・ガフュール(Emad Abdel Ghafur)党代表が事実関係を確認し、ビルキミ氏が議員辞職し、党籍も離れたことを明らかにするとともに、「ビルキミ氏は医師らをはじめとする病院関係者、ヌール党、全議員、報道関係者、治安当局者、そしてエジプトの全国民に正式に謝罪する」としている。

 エジプトの検察当局は捜査を開始し、病院の関係者にビルキミ氏のカルテの提出と法医学的検査を要求している。ホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)前大統領を失脚させた前年の民衆蜂起以降、エジプトは治安が悪化し、車上強盗をはじめとする強盗事件や路上での暴力事件などが増えている。(c)AFP