【3月6日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は5日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相とホワイトハウス(White House)で会談した。

 イランの核の脅威は、いずれ米・イスラエル両国に危険を及ぼすとの認識で両首脳は一致しているものの、その切迫感については温度差があるとみられている中、以前から対立しがちな両首脳は約2時間にわたって話し合った。

 ネタニヤフ首相は「イスラエルは、あらゆる脅威に対して常に自ら自国を防衛できる能力を保持すべきだ」と述べ、イスラエルが「自国の運命の支配者」であることを保証することがイスラエルの首相として最大の責務だと語った。

 オバマ大統領は、「私の政策はイランの核兵器獲得を阻止することだ」と述べた。「私があらゆる選択肢をテーブルに乗せると言ったとき、それは文字通りそういう意味だ」と軍事行動の可能性も示唆したが、その一方で「まだ、この問題を外交的に解決する方法はあると考えている」と述べた。

■新たな戦争恐れる米政府

 米政府は、イスラエルが先制攻撃に踏み切ればイランは激しく反撃して中東は混乱し、この地域に展開する米軍が危険にさらされ、米国が新たな戦争に巻き込まれることを懸念している。

 オバマ政権は、イランはまだ核兵器開発には着手していないとみており、軍事行動は時期尚早で、いまは追加制裁の効果を見極める時期だとの立場をとっている。

 これに対し、イスラエルはイランの核兵器開発を自国の存在そのものへの脅威ととらえている。イランの核開発は成功直前で、短期間で兵器級ウランの生産が可能な段階にあるというのがイスラエルの見方だ。

 ある米政府高官は、この会談後に米政府は、オバマ大統領がイランの核兵器獲得阻止を真剣に考えていることをネタニヤフ首相も理解したと考えていると語った。一方、あるイスラエル政府高官は、会談でイランの核開発に対するイスラエルの懸念が広く理解されたとコメントしたが、詳しい説明はしなかった。

 オバマ大統領は、ネタニヤフ首相が米国入りする数日前から、イランの核問題について、脅しではなく必要であれば軍事行動も辞さないと強硬な発言をしているが、軍事行動に踏み切る条件は明らかにしていない。

 上述の米政府高官は、イランが濃縮度の高い兵器級ウランの生産開始を決めた場合、オバマ政権は最大で1年程度かけて対応を決めるだろうと語った。だがイスラエルはこのタイムテーブルを共有していない。(c)AFP/Stephen Collinson