【3月5日 AFP】(一部更新、写真追加)ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)首相は4日夜(日本時間5日未明)、4日投開票が行われた大統領選の勝利宣言を行った。

 ドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領と共に、クレムリンのすくそばのマネージ広場(Manezh Square)でステージに上がったプーチン氏は、涙を浮かべて「われわれは開かれた、公正な戦いに勝利した」と集まった10万人以上の支援者らに述べた。「私はあなたたちに、われわれは勝つと約束した。そしてわれわれは勝った。ロシアに栄光あれ!」

 集まったプーチン氏を支持する人々は公園に入りきらず近くの道路に溢れ、ロシアの国旗を振り、「プーチン、プーチン」と声を上げていた。プーチン氏はその後、自身の選挙運動本部に移動した。

 開票途中の結果でプーチン氏の得票率は60%を超え、2位の共産党のゲンナジー・ジュガーノフ(Gennady Zyuganov)氏に大差を付けているため、プーチン氏は5月に正式に大統領に就任する公算が高まった。

 半数以上の投票所で開票が終わった時点の得票率はプーチン氏が64.39%、ジュガーノフ氏が17.13%。以下大富豪のミハイル・プロホロフ(Mikhail Prokhorov)氏が6.97%、ウラジーミル・ジリノフスキー(Vladimir Zhirinovsky)氏が6.7%、セルゲイ・ミロノフ(Sergei Mironov)元ロシア上院議長が3.7%だった。中央選挙管理委員会によると、投票率は約64%だった。

 プーチン氏は2000~2008年に大統領を2期務めた後、メドベージェフ大統領の下で4年間首相を務めた。この間の憲法改正で大統領の任期が延長されたため、今回の選挙でプーチン氏が大統領に就任すれば、さらに6年間大統領を務めることになる。

■不正投票あったとの指摘も

 プーチン首相は投票の透明性を確保するためにウェブカメラを設置するよう命じていたが、野党陣営は、1人の人物が不在者投票用の文書を使って複数の投票所で複数回投票するいわゆる「回転木馬投票」などの不正投票があったことをうかがわせる事例があったと主張している。

 AFPの特派員は、郊外の労働者を乗せた約100台のバスがモスクワ(Moscow)市内を走っているのを目撃した。モスクワ市内で投票させるため与党を支持する青年運動組織「ナーシ(Nashi)」が手配したものだが、野党は複数回投票させることが目的だったとしている。

 5日夜にはモスクワのプーシキン広場(Pushkin Square)で、「プーチンがいないロシア」を求める野党側が抗議行動を計画しており、少なくとも3万人の参加が見込まれている。この抗議行動は当局の許可を受けているが、警察は許可を受けた以外の集会が行われた場合には解散させると警告している。警察はロシア全土から約6300人の警察官を派遣してモスクワの警備を強化している。

 ロシア南部のコーカサス地方では、大統領選の投票後に投票所が襲撃され警察官3人が死亡し、ロシア南部の不安定な状況は依然として続いていることをあらためて示した。(c)AFP/Stuart Williams and Dmitry Zaks