【2月29日 AFP】ベネズエラのエリアス・ハウア(Elias Jaua)副大統領は28日、テレビとラジオの特別放送で、ウゴ・チャベス(Hugo Chavez)大統領はキューバの病院で骨盤領域に見つかった病変組織の摘出手術を受け、術後の経過は良好だと明らかにした。

 ハウア副大統領は、手術で病変組織とその周辺組織が完全に取り除かれ、合併症もみられないなどとする声明文を読み上げた。摘出した場所は、前年にがん性腫瘍の手術と同じ部位だった。

 キューバのテレビ局も、ハバナ(Havana)にあるキューバ最新鋭の医療機関シーメック(CIMEQ)総合病院で行われたチャベス大統領の手術は成功したと報じた。

 一方、ブラジル人ジャーナリスト、メルバル・ペレイラ(Merval Pereira)氏は自身のブログに、チャベス大統領がハバナで27日夜に試験開腹手術を受けたが、これは「予想以上に困難な病状だとみられたからだ」と書いている。執刀にあたった医師団はキューバ人が率い、ブラジル人とロシア人の医師も含まれていたという。

■治療方針めぐり見解の相違

 ベネズエラ紙ウニベルサル(El Universal)は、ジャーナリストのネルソン・ボカランダ(Nelson Bocaranda)氏の話として、ブラジル人医師が26日、ハバナに向かいチャベス大統領の病状の評価に加わったと伝えた。ロシア人専門医も電話で参加したという。

 だが、内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」が26日に公開した米テキサス(Texas)の情報関連企業「ストラトフォー(Stratfor)」の電子メールのなかに含まれていたベネズエラ関係筋のメールには、キューバの医師はチャベス大統領の余命を2年とみているが、ロシアの医師団は医療機器が不適切であることを理由に余命は1年に満たないと判断していると書かれていた。

 ある専門家の前年12月の電子メールは、「強力なコネを持つ筋」からの情報として、チャベス大統領のがんはリンパ節と脊椎に転移しているとみられ、その治療方針をめぐってキューバとロシアの医師らの間で見解の相違が生じていると伝えている。
 
 石油輸出国機構(Organization of the Petroleum Exporting CountriesOPEC)の南米加盟国として傑出した産油量を誇るベネズエラと、そのベネズエラの安価な石油に依存しているキューバ。両国にとってチャベス大統領の健康状態は極めて重要だ。(c)AFP