【2月19日 AFP】オーストラリアのケビン・ラッド(Kevin Rudd)前首相が、首相在任時に中国語の通訳官についての不満を大声で怒鳴る様子を記録した動画が、米動画サイトのユーチューブ(YouTube)に投稿され、与党労働党(Labor Party)内に19日、党首の交代をも含む内部抗争の緊張が走った。

 2分間の動画は「HappyVegemiteKR」と名乗るアカウントにより投稿されていた。動画の中で、元外交官で中国語が流ちょうなラッド氏は、中国語のメッセージを録画する最中にいら立ち、文章を執筆した「大使館のばか野郎」に対する不満をぶちまけた。

「このくそったれな言語、あいつは難しくしすぎなんだ。いったい誰がこれを読めるんだ?」とラッド氏は叫び、目の前のテーブルをこぶしで叩いた。

■ラッド氏が首相返り咲きを画策か、広がった憶測

 ラッド氏は2010年6月、ジュリア・ギラード(Julia Gillard)副首相(当時)による党内クーデターにより首相の座を追われた。だが総選挙でかろうじて政権を死守したギラード首相も現在は支持率が低迷しており、この数週間にわたって、現外相のラッド氏が首相返り咲きに向けて準備をしているとの憶測が広がっていた。

 無所属のアンドリュー・ウィルキー(Andrew Wilkie)議員が、首相復帰についてラッド氏と11月に相談したと述べたため、憶測はいっそう煽りたてられた。ウィルキー氏は「(ラッド氏は)はっきりと復職を求めている。おそらく挑戦がなされるだろう。そしてラッド氏は成功するかもしれない」と述べている。

■ギラード首相が数日内に決断か

 一方、ラッド氏は動画の投稿を受けて「自分は変わった」と述べ、以前よりも相手を支配しようとしなくなり、幅広く相談するようになったと主張した。この2つの点は、ラッド氏が首相の座を追われたときに同氏の欠点として挙げられたものだ。また、動画内で自分がののしる様子を「恥ずかしく感じた」と述べ、通訳官に対してではなく自分に対していら立っていたと説明した。

 さらにラッド氏は、動画の公開について、自分はそうは考えていないが、疑り深い人であれば数年前の動画が今になって公開されたという「異例の」タイミングに疑問を感じるだろうと指摘。こういった未使用動画は通常、破棄されることになっているが、この動画を首相官邸またはその他の政府省庁が保管していたことは間違いないと語った。一方、ギラード首相の事務室は、動画を漏えいさせた事実はないと否定している。

 党内ではギラード派とラッド派の公然とした対立も始まっている。政治アナリストのピーター・バン・オンセレン(Peter van Onselen)氏は、問題はすでに重大な局面を迎えており、ギラード首相は数日以内にラッド外相を背信行為で罷免するか、問題解決のために投票を呼び掛けるかのいずれかを選択せざるを得なくなるだろうと述べている。(c)AFP/Amy Coopes

【参考】怒鳴るラッド首相の動画