【2月6日 AFP】(一部更新)フィンランドで5日、大統領選挙の決選投票が行われ、穏健保守主義政党、国民連合(National Coalition)のサウリ・ニーニスト(Sauli Niinistoe)元財務相(63)がペッカ・ハービスト(Pekka Haavisto)元環境相を破って当選した。

 フィンランド法務省が発表した、全ての開票作業が終わった時点での得票率はニーニスト氏が62.6%、ハービスト氏が37.4%だった。確定した結果は8日に発表されるが、世論調査に基づく予測通りの投票結果になった。

 ニーニスト氏の勝利は、1996~2003年の財務相在任中にフィンランドのユーロ導入に貢献したことが選挙戦を通して有権者に評価された結果だと捉えられている。この傾向はユーロ圏の債務危機が有権者の主な関心になっていた1月22日に行われた第1回投票で特に顕著にみられた。

 ニーニスト氏は3月にタルヤ・ハロネン(Tarja Halonen)現大統領から大統領職を引き継ぐ。これにより約30年続いた社会民主党の大統領の時代は終わり、ユルキ・カタイネン(Jyrki Katainen)首相とともに大統領も国民連合の政治家が務めることになる。

■大津波を生き延びる

 ニーニスト氏はフィンランド南西部の労働者階級の家庭に、4人きょうだいの末っ子として生まれ、トゥルク大学(University of Turku)で法律の学位を得た。

 ニーニスト氏は1995年、20年以上連れ添い、2人の息子をもうけた妻を悲劇的な交通事故で失った。その9年後の2004年、タイ滞在中にインド洋大津波に遭遇したニーニスト氏は次男とともに木によじ登り、かろうじて難を逃れた。

 美人コンテストの優勝経験を持つ女性議員と婚約したこともあったが1年で婚約を解消。その後、国民連合の広報を務めていた29歳年下の女性と2009年に再婚した。

■豊富な政治経験

 有権者がニーニスト氏に1票を投じる決め手となったのは、同氏の豊富な政治経験だろう。同氏は財務相に加えて、法相や副首相を務めた経験もある。

 その性格については、「忍耐に欠け、粗雑な人物」と、「誠実で率直」と見方は分かれるが、政治手腕において欠けているとみられるのが外交と環境の分野だ。

 ヘルシンキ大学( Helsinki University)のヤン・サンドベルグ(Jan Sundberg)教授(政治学)はAFPの取材に対し、「大統領には、より広い世界との関係構築が求められる」と述べたうえで、ニーニスト氏は発展途上国やアジアの国々、環境分野での経験が欠けていると指摘した。(c)AFP/Denise Wall