【1月31日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は30日、アフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)や国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の戦闘員掃討を目的に、米国の無人機がパキスタン領内で攻撃を行っていたことを認めた。

 オバマ大統領がグーグルプラス(Google+)やユーチューブ(YouTube)のチャットで、ユーザーから米軍無人機について尋ねられて答えたもので、米政権がパキスタン国内での無人機攻撃を正式に認めたのは初めて。

 ユーザーの質問に対し、オバマ大統領は「多くの攻撃がFATA(パキスタンの連邦直轄部族地域、Federally Administered Tribal Areas)で行われている」と答え、「アルカイダの工作員らはパキスタン軍の手が届かない場所に点在しており、パキスタン軍が拘束することは不可能だろう」と説明し、ほぼ無法地帯化している部族地域が対象となっていることを認めた。

■無人機攻撃で反米感情高まる

 米政府関係者らは、10年におよぶアフガニスタンでの戦闘で、パキスタンの部族地域がタリバンや欧米攻撃を画策するアルカイダなどの潜伏地になっていると主張している。

 米政府はこれまで無人機による攻撃の事実を公式に認めてこなかったが、オバマ政権がアフガニスタンに駐留する外国軍の2014年末までの完全撤退を目指す中、無人機による攻撃は急増している。一方のパキスタン政府も、国内での反発をよそに米軍の無人機攻撃に同意してきたと理解されている。実際、2004年以降、アルカイダやタリバンの工作員や戦闘員ら多数が無人機攻撃で死亡した。

 だが、無人機攻撃に反発するパキスタン国民の間で反米機運が高まり、ことに前年11月に米軍主導の北大西洋条約機構(NATO)軍による誤爆でパキスタン軍兵士24人が死亡したことで、反米感情はさらに高まった。米軍とNATOは、この誤爆の原因はNATOとパキスタン軍側双方の不十分なコミュニケーションと、過失が重なったことだったと結論づけた。しかし、誤爆は意図的なものだったと主張しているパキスタン側はこの調査結果を受け入れていない。

 パキスタン政府は米国との同盟関係を見直しているほか、アフガニスタンに通じるNATO軍の補給路を2か月前から閉鎖している。さらに、米中央情報局(CIA)による無人機の攻撃拠点とみられていたバルチスタン(Baluchistan)州シャムシ(Shamsi)空軍基地からの米部隊の撤退を要求した。パキスタンは補給路の再開にあたって、輸送物資に特別税を課すことを条件にするとみられている。(c)AFP

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