アジアで再び勢力拡大図る米軍
このニュースをシェア
【1月31日 AFP】米国がアジアでの軍事力を拡大する計画を押し進めている。フィリピンその他の同盟国は米軍と、最新兵器の設計開発に潤沢な資金を注ぐ米国防総省を歓迎している。
米政権には歳出削減のプレッシャーがかかっているものの、中国が急速に軍備増強を進める中、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領は東アジアでの米国の軍事的優位を維持することは最優先だと明言している。
米国とその旧植民地であるフィリピンは27日、2日間に及ぶ局長級協議を終え、合同軍事演習や米艦船の寄港を増やすといった軍事協力の強化で合意した。フィリピンはベトナム同様、南シナ海での領有権をめぐり中国と激しく対立している。
オバマ大統領は2か月前にはオーストラリアを訪問し、北部の都市ダーウィン(Darwin)に新たに米海兵隊を駐留させ、2016~17年までに2500人規模まで増強する方針を発表した。同じく長年の同盟国で戦略的位置にあるシンガポールにも、沿海域戦闘艦を前方展開させる計画だ。こうした動きは、恒久基地を置くことによる財政的・政治的コストをかけることなく、衝突が発生する可能性のある地域に軍をより近づけ、より機動力を高めたいという米軍の戦略に沿っている。
米国は、日本と韓国に駐留する8万5000人以上の駐留軍の展開は求めていないと、米太平洋軍のロバート・ウィラード(Robert Willard)司令官は言い切る。しかし「オーストラリアやシンガポールが提示してくれたイニシアチブによって、わが軍は東南アジアにもっと近い場所を回ることができ、太平洋軍司令部は同地域での存在感をもっと効果的に高めることが可能になる」と言う。
米国防総省のジョン・カービー(John Kirby)報道官も「もう一度、わが軍の焦点をアジア太平洋地域に向け直す。それには過去、この地域の多くの国々と行ってきたものよりもさらに強力な連携が必要となるだろう」と述べている。
同省は26日、10万人の兵力削減を含む国防予算削減計画を発表したが、その中で相手国領土の深くまで進入が可能とされる次世代ステルス爆撃機など、中国との衝突を想定した場合に重要と思われる数々の開発・研究費を確保していた。
成長を続ける中国は、自国はどの国にも脅威を与えてなどいないと主張している。また米国に対しては、中国と周辺国の対立を悪化させないよう、慎重に振る舞うべきだと繰り返しけん制している。
米国側の高官たちも、中国は脅威だと公の場で表現しないよう注意している。だがその裏では、米国が第2次世界大戦後のアジア防衛に巨額を投入したことが、中国の外的脅威を消し去って中国を自国の成長に集中させてしまい、結果、中国の利となってしまったと論じている。
米政府周辺でアジアの焦点化は広い支持を得ている。しかし与党・民主党の中には、国防予算のさらなる削減を訴える一派もいる。このバーバラ・リー(Barbara Lee)氏ら、リベラル派の民主党下院議員4人は、オーストラリアへの駐留は不要で、また対日関係にとって厄介な問題となっている沖縄・普天間基地は閉鎖すべきだと主張している。
4人はオバマ大統領宛の書簡で「今こそ、わが国が直面している真の脅威にあわせ、防衛支出をわが国の再建に振り向けるときだ」と記している。(c)AFP/Shaun Tandon
米政権には歳出削減のプレッシャーがかかっているものの、中国が急速に軍備増強を進める中、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領は東アジアでの米国の軍事的優位を維持することは最優先だと明言している。
米国とその旧植民地であるフィリピンは27日、2日間に及ぶ局長級協議を終え、合同軍事演習や米艦船の寄港を増やすといった軍事協力の強化で合意した。フィリピンはベトナム同様、南シナ海での領有権をめぐり中国と激しく対立している。
オバマ大統領は2か月前にはオーストラリアを訪問し、北部の都市ダーウィン(Darwin)に新たに米海兵隊を駐留させ、2016~17年までに2500人規模まで増強する方針を発表した。同じく長年の同盟国で戦略的位置にあるシンガポールにも、沿海域戦闘艦を前方展開させる計画だ。こうした動きは、恒久基地を置くことによる財政的・政治的コストをかけることなく、衝突が発生する可能性のある地域に軍をより近づけ、より機動力を高めたいという米軍の戦略に沿っている。
米国は、日本と韓国に駐留する8万5000人以上の駐留軍の展開は求めていないと、米太平洋軍のロバート・ウィラード(Robert Willard)司令官は言い切る。しかし「オーストラリアやシンガポールが提示してくれたイニシアチブによって、わが軍は東南アジアにもっと近い場所を回ることができ、太平洋軍司令部は同地域での存在感をもっと効果的に高めることが可能になる」と言う。
米国防総省のジョン・カービー(John Kirby)報道官も「もう一度、わが軍の焦点をアジア太平洋地域に向け直す。それには過去、この地域の多くの国々と行ってきたものよりもさらに強力な連携が必要となるだろう」と述べている。
同省は26日、10万人の兵力削減を含む国防予算削減計画を発表したが、その中で相手国領土の深くまで進入が可能とされる次世代ステルス爆撃機など、中国との衝突を想定した場合に重要と思われる数々の開発・研究費を確保していた。
成長を続ける中国は、自国はどの国にも脅威を与えてなどいないと主張している。また米国に対しては、中国と周辺国の対立を悪化させないよう、慎重に振る舞うべきだと繰り返しけん制している。
米国側の高官たちも、中国は脅威だと公の場で表現しないよう注意している。だがその裏では、米国が第2次世界大戦後のアジア防衛に巨額を投入したことが、中国の外的脅威を消し去って中国を自国の成長に集中させてしまい、結果、中国の利となってしまったと論じている。
米政府周辺でアジアの焦点化は広い支持を得ている。しかし与党・民主党の中には、国防予算のさらなる削減を訴える一派もいる。このバーバラ・リー(Barbara Lee)氏ら、リベラル派の民主党下院議員4人は、オーストラリアへの駐留は不要で、また対日関係にとって厄介な問題となっている沖縄・普天間基地は閉鎖すべきだと主張している。
4人はオバマ大統領宛の書簡で「今こそ、わが国が直面している真の脅威にあわせ、防衛支出をわが国の再建に振り向けるときだ」と記している。(c)AFP/Shaun Tandon