【1月30日 AFP】仏大統領選を控えたニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領は、29日に放映されたテレビのインタビュー番組のなかで、有権者の信頼回復を狙った仏経済建て直し策の一環として増税する方針を示した。

 第1回投票が4月に行われる大統領選への出馬をまだ明言していないサルコジ大統領だが、その可能性は強く示唆している。だが世論調査に基づいた予想では、社会党のフランソワ・オランド(Francois Hollande)前第1書記が勝利するとみられている。

 6つのテレビ局で放映された1時間番組のなかでサルコジ大統領は、付加価値税の標準税率を21.2%に引き上げ、主に富裕層が対象となる0.1%の金融取引税を設けると述べた。さらに、給与を減額して雇用を維持するための労働時間短縮、企業で実習する若者の数を増やすこと、仏産業への投資を行う新たな金融機関の創設などの案も示した。

■世論調査ではオランド氏優勢

 こうした改革案についてサルコジ大統領は、仏経済を崩壊の危機から救うために自分はオランド氏と違って人に嫌がられる仕事も断行する覚悟があることを示すと考えていると、サルコジ政権の閣僚らは語った。

 だが、失業者が過去12年で最悪の300万人近くになり、公的債務も記録的な水準に達している中、仏経済を立て直す手腕が問われているサルコジ大統領の前途には難しい課題が立ちはだかっている。

 一方、1週間前に選挙活動をスタートさせたライバルのオランド氏は、2017年までに200億ユーロ(約2兆240億円)を支出して6万人の教員職を確保し、若者を対象とした15万人の雇用創出に補助金を出すことなどを公約に掲げ、サルコジ政権時代の負の遺産を払拭するとうたっている。

 直近の世論調査では、5月に行われる決選投票の得票率はオランド氏が56%、サルコジ大統領が44%と予測されている。(c)AFP/Rory Mulholland