金正男氏のノンフィクション本『父・金正日と私』、日本で出版
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【1月17日 AFP】北朝鮮の新指導者、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)氏の長兄にあたる金正男(キム・ジョンナム、Kim Jong-Nam)氏のノンフィクション本『父・金正日と私(My father Kim Jong-Il and Me)』が20日、文芸春秋(Bungeishunju)から出版される。
著者は日本人ジャーナリストの五味洋治(Yoji Gomi)氏。五味氏は2004年に北京(Beijing)で正男氏に会って以来、関係を深めてきたという。新著は正男氏とのインタビューや電子メールでのやりとりに基づいている。
この本には「北朝鮮の経済崩壊を防ぐための改革により、スターリン主義の政治体制は崩壊するだろう」、「軍の力があまりに強大になったので、軍が介入して権力を乗っ取るだろう」などといった正男氏の言葉が収められている。
■経済改革と体制維持のジレンマ
2011年にマカオ(Macau)で長時間のインタビューに応じた正男氏は五味氏に、「北朝鮮は非常に不安定だ」と語ったという。
正男氏は朝鮮語で、「私の父は軍の支援を受けて国を統治した。だが軍の力はあまりに強くなりすぎた。権力継承が失敗に終われば、軍が実権を振るうのは間違いない」と話したという。
正男氏は、北朝鮮の国家管理経済が体制にジレンマを起こしているとも語った。金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記が死去したとされる前年12月17日より前に行われたインタビューで正男氏は、「改革無しでは経済が崩壊するのは明らか。だが改革は体制崩壊の危機を導く」と語っていた。
また正男氏は、経験不足の弟、正恩氏について、支配層のエリートたちが体制を掌握するための単なる象徴になる可能性が高いと主張した。
「普通の考えの人であれば、3代にわたる世襲は我慢できないだろう。(継承者としての訓練を)2年だけ受けた若い後継者が、どうすれば絶対的な権力を継承できるというのだろうか」と、正男氏は電子メールにつづった。「若い後継者を象徴として保つことで、既存体制のエリートたちが父の権力を継承することになる可能性が高い」。五味氏によるとこのメールは1月3日に送信されたという。
■「正恩体制崩壊なら正男体制の可能性も」と著者
父からの好意を失った金正男氏は、かなり以前から中国で事実上の亡命生活を送っている。金正日氏の葬儀と追悼式に出席したかとの質問に正男氏は明確な回答を避けたが、日本メディアによれば正男氏は父の死を知った後、平壌(Pyongyang)を訪れたという。
五味氏は、正男氏が中国の支援を受けて北朝鮮の権力を掌握する可能性は依然として残っていると述べる。中国は、北朝鮮の体制が崩壊して食糧難にある北朝鮮側から大勢の人が中国に押し寄せたり、朝鮮半島の核問題が混乱に陥ったりする事態を懸念している。
東京新聞(Tokyo Shimbun)編集委員の五味氏は、中国は金正男氏を保護しており、仮に正恩体制が崩壊した場合、中国は正男氏を平壌に送って北朝鮮の次の指導者にしたいようだ、と述べた。
五味氏によると正男氏から書籍の出版を延期するよう要請があったが、出版を決めたという。(c)AFP
著者は日本人ジャーナリストの五味洋治(Yoji Gomi)氏。五味氏は2004年に北京(Beijing)で正男氏に会って以来、関係を深めてきたという。新著は正男氏とのインタビューや電子メールでのやりとりに基づいている。
この本には「北朝鮮の経済崩壊を防ぐための改革により、スターリン主義の政治体制は崩壊するだろう」、「軍の力があまりに強大になったので、軍が介入して権力を乗っ取るだろう」などといった正男氏の言葉が収められている。
■経済改革と体制維持のジレンマ
2011年にマカオ(Macau)で長時間のインタビューに応じた正男氏は五味氏に、「北朝鮮は非常に不安定だ」と語ったという。
正男氏は朝鮮語で、「私の父は軍の支援を受けて国を統治した。だが軍の力はあまりに強くなりすぎた。権力継承が失敗に終われば、軍が実権を振るうのは間違いない」と話したという。
正男氏は、北朝鮮の国家管理経済が体制にジレンマを起こしているとも語った。金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記が死去したとされる前年12月17日より前に行われたインタビューで正男氏は、「改革無しでは経済が崩壊するのは明らか。だが改革は体制崩壊の危機を導く」と語っていた。
また正男氏は、経験不足の弟、正恩氏について、支配層のエリートたちが体制を掌握するための単なる象徴になる可能性が高いと主張した。
「普通の考えの人であれば、3代にわたる世襲は我慢できないだろう。(継承者としての訓練を)2年だけ受けた若い後継者が、どうすれば絶対的な権力を継承できるというのだろうか」と、正男氏は電子メールにつづった。「若い後継者を象徴として保つことで、既存体制のエリートたちが父の権力を継承することになる可能性が高い」。五味氏によるとこのメールは1月3日に送信されたという。
■「正恩体制崩壊なら正男体制の可能性も」と著者
父からの好意を失った金正男氏は、かなり以前から中国で事実上の亡命生活を送っている。金正日氏の葬儀と追悼式に出席したかとの質問に正男氏は明確な回答を避けたが、日本メディアによれば正男氏は父の死を知った後、平壌(Pyongyang)を訪れたという。
五味氏は、正男氏が中国の支援を受けて北朝鮮の権力を掌握する可能性は依然として残っていると述べる。中国は、北朝鮮の体制が崩壊して食糧難にある北朝鮮側から大勢の人が中国に押し寄せたり、朝鮮半島の核問題が混乱に陥ったりする事態を懸念している。
東京新聞(Tokyo Shimbun)編集委員の五味氏は、中国は金正男氏を保護しており、仮に正恩体制が崩壊した場合、中国は正男氏を平壌に送って北朝鮮の次の指導者にしたいようだ、と述べた。
五味氏によると正男氏から書籍の出版を延期するよう要請があったが、出版を決めたという。(c)AFP