【1月13日 AFP】中国の反体制派作家、余傑(Yu Jie)氏(38)が12日、妻子とともに米ワシントンD.C.(Washington D.C.)の空港に到着した。前日に極秘に北京(Beijing)を離れており、亡命するとみられる。余氏は中国当局から暴力をうけ、著作の出版を規制されていたと訴えている。

 余氏は2010年、当局から禁錮刑を警告されながら、温家宝(Wen Jiabao)首相を批判する著書『中国影帝温家宝(Wen Jiabao: China's Best Actor)』を香港(Hong Kong)で出版している。

 米系ラジオ「自由アジア放送(Radio Free Asia)」とのインタビューで余氏は、中国で服役中の民主化活動家・劉暁波(Liu Xiaobo)氏が10年にノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を受賞して以降、当局の締め付けが厳しくなったと語った。余氏によると、劉氏は「拷問を受けている」という。

 自身については、2011年のほとんどの期間「自由を剥奪され、当局の監視下に置かれていた」と説明。また、海外での著作出版を禁じられたほか、当局が非公認の宗派のキリスト教徒である余氏が信仰に基づいた行為を行うことを禁止されたと話した。

「作家としてもキリスト教徒としても、もはや私には自分自身を表現する自由も信仰に従う自由もない。それで、自由に暮らすことができる米国に渡ることを決意した」(余氏)

 米国での滞在期間は「比較的、長い期間になる」と発言。米国でも著作活動を続ける意向を示している。(c)AFP