【1月12日 AFP】11月の米大統領選に向けた共和党の候補者指名争いでこれまでリードしているミット・ロムニー(Mitt Romney)氏(64)は、「ザ・プレジデント」ではなく「エル・プレシデンテ」にもなれるのかもしれない――あるいは少なくとも、米史上初のメキシコ系大統領になるかもしれない。

 米メディアは今週、ロムニー前マサチューセッツ(Massachusetts)州知事のあまり知られていない家系ついて、メキシコに強いルーツがあることを暴露した。父親のジョージ・ロムニー(George Romney)氏が、メキシコ生まれだったのだ。つまり家系から言えば、ロムニー氏はメキシコ国籍も取得できる資格を持つ。

 ロムニー氏はモルモン教を信仰しており、共和党候補者たちの中ですでにこの点だけでも際立っているが、自分の家系については堅く口を閉ざしてきた。

 ロムニー氏の掲げる政治要綱の中で主要なテーマのひとつが移民政策で、他の共和党候補者同様、ロムニー氏も移民に対する強硬路線を貫いてきた。

 9日の米NBCテレビによると、ロムニー氏の父、ジョージ・ロムニー氏は1907年、メキシコ北部のコロニア・ドゥブラン(Colonia Dublan)で生まれた。ここは1世紀以上前から、米国のモルモン教徒たちの入植地だった。

 ロムニー氏の父が5歳の時にメキシコ革命を逃れるため、一家は米国へ帰国したが、他の親族はメキシコへ残り、現在でもはとこを含む約40人が、コロニア・ドゥブランや隣接するコロニア・フアレス(Colonia Juarez)に住んでいる。
 
 報道によると、ロムニー一族は、かつてモルモン教の特徴のひとつでありながら米国で違法となった一夫多妻制を実践するため、メキシコへ渡ったという。

 NBCのインタビューに応えた、はとこのレイトン・ロムニー(Leighton Romney)氏は、「彼(ミット・ロムニー候補)は、非常に偉大な開拓者精神を継承している。イリノイ(Illinois)からユタ(Utah)へ大平原を横切り、さらにユタからメキシコへと南下した人びとの精神だ」と語った。

 またレイトン氏は、ふたつの国に忠誠を誓うことも、米大統領選での「受け」はよくないかもしれないが、問題は感じないと述べた。「私たちはどちらの国も愛している。私はどちらの国歌も歌えるし、どちらを聞いても感動で涙ぐむ。愛する国、仕える国がふたつあり、ふたつの国のサービスの恩恵を受けることができるとは、素晴らしいことだと思う」

 一方、ミット・ロムニー氏の広報によると、同氏はスペイン語は話さないという。(c)AFP