【12月27日 AFP】中国貴州(Guizhou)省の裁判所は26日、人権活動家の陳西(Chen Xi)氏(57)に国家政権転覆扇動罪で懲役10年の実刑判決を言い渡したと発表した。すでに陳西氏は収監されたという。当局による一連の反体制派取り締まりのなかでも、この1年で最も重い判決だ。

 陳西氏は1989年の天安門(Tiananmen)事件で学生らの民主化運動を主導した活動家の1人。中国の人権擁護団体「チャイニーズ・ヒューマンライツ・ディフェンダーズ(Chinese Human Rights DefendersCHRD)」によると、裁判は判決言い渡しまでわずか数時間という速さだった。陳氏は以前、中国の政治改革と人権改善を求める文章を書いており、これが厳しい判決につながったと人権活動家らはみている。

 今春、アラブ世界で起きた政変に触発され、中国でもインターネットでの抗議デモ呼び掛けが広まり、これに神経をとがらせる中国当局は、共産党の一党独裁に対する批判の取り締まりを強化してきた。

 実際、中国版「ジャスミン運動」が始まった後から、民主活動家や人権派弁護士らが多数拘束されており、米政府は「人権が深刻に後退している」と中国政府を非難している。

 陳西氏の裁判に先立つ23日にも、四川(Sichuan)省の裁判所で民主運動家の陳維(Chen Wei)氏が、同様に国家政権転覆扇動罪で懲役9年の実刑判決を受けた。この裁判も、わずか3時間で結審している。陳維氏も天安門事件での民主化運動指導者で、陳西氏、陳維氏とも、中国の政治改革を求める請願書「08憲章(Charter 08)」の起草メンバーの1人だ。

 中国の人権問題に詳しい香港中文大学(Chinese University of Hong Kong)のジョシュア・ローゼンツバイク(Joshua Rosenzweig)氏は、AFPの取材に「どちらの裁判も、最低限の審理時間で判決が言い渡されており、すでに裁判の前から判決は決まっていたことを強く示唆している」と話した。(c)AFP/Allison Jackson