【12月27日 AFP】野田佳彦(Yoshihiko Noda)首相は26日、北京(Beijing)で中国の胡錦濤(Hu Jintao)国家主席と会談し、金正日(Kim Jong-Il)総書記死去後の北朝鮮情勢をめぐる懸念について話し合った。野田首相の訪中は、9月の就任以来、初めて。

 中国は北朝鮮の最も親密な同盟国。国営の新華社(Xinhua)通信によると、胡主席は、野田首相に対し「朝鮮半島の平和と安定を維持するため、日本を含む関係国と共同で取り組む準備がある」と語った。

 専門家は、北朝鮮への対応で鍵を握るのは中国だと指摘する。日本は北朝鮮とも、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)氏とも関係が希薄だ。

■温家宝首相と会談、北朝鮮情勢で意見交換

 日本の外務省報道官によると、野田首相は、25日に行った温家宝(Wen Jiabao)首相との会談で、「金正日総書記の死去が朝鮮半島の平和と安定に悪影響を与えないことが重要」と述べ、「中国の役割は極めて重要だ」と語った。

 野田首相は「朝鮮半島の平和と安定は日中両国共通の利益だ」と強調し、拉致問題では中国の協力を要請した。温首相も「日中両国は戦略的互恵関係を進展させたい」と語った。

 また、国営の中国中央テレビ(China Central TelevisionCCTV)は、温首相と野田首相が、北朝鮮の核開発計画をめぐる6か国協議の早期再開で合意したと伝えた。

■日中経済強化で合意

 中国政府は国際貿易での人民元の利用拡大を進めているが、日中両首脳は、日中両国の企業がドル建てでなく、両国の通貨建てで取引しやすくするための合意に達した。

 また、中国政府は国内金融市場の拡大と流動性向上を目指しているが、日本が中国国内で人民元建て債権を発行する準備でも合意した。

■日中高級事務レベル海洋協議を設置へ

 日本の外務省報道官によると、野田首相と温首相は、東シナ海(East China Sea)の領有権問題などを含む海洋問題では、定期的な高級事務レベル協議を設けることで合意した。

 野田首相は胡主席との会談後に北京を離れ、帰国した。(c)AFP