【12月19日 AFP】米各紙は19日、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記死去のニュースを、金総書記が独裁的だったことを強調して報じている。

 ワシントン・ポスト(Washington Post)は訃報の中で、1996~1999年の飢饉(ききん)で最高で100万人もの死者が出たとされているにもかかわらず、金総書記の統治下で北朝鮮は世界最大規模の常備軍を維持したと報じた。

 ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は、金総書記は「聡明(そうめい)で仕事熱心、博識で自信を持っていた」という、ビル・クリントン(Bill Clinton)大統領政権当時に北朝鮮問題を担当したウェンディ・シャーマン(Wendy Sherman)元政策調整官の談話を掲載した。

 シャーマン氏は、マドレーン・オルブライト(Madeleine Albright)国務長官(当時)の顧問を務めた。オルブライト国務長官は2000年10月、北朝鮮のミサイル開発計画に制約をかけるべく金総書記と会談したが、成果は得られなかった。

 ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)はソウル(Seoul)発で、「その70年におよぶ人生を通して、金(正日)氏はごくわずかな人からしか直接批判されたことはなかっただろう。その一方で世界は、フィルターを通してしか金氏の姿を知ることはなかった」と説明。別の記事で金総書記の死は「北朝鮮と北東アジアに、新しい、危険をはらんだ不安定な権力移行期の時代を開く」と分析した。

 ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)は、金総書記は最期まで「多くの国民が飢えて死に、政治犯として多数の人びとが収監され、国民が世界で最も貧しいレベルになっても、経済の自由化を拒む頑固な共産主義者」であり続けたと書いた。(c)AFP