【12月6日 AFP】南米ペルーのオジャンタ・ウマラ(Ollanta Humala)大統領は4日、同国で米鉱山大手ニューモント(Newmont)が進める開発事業と、これに抗議する環境活動家らの衝突が激化している北部カハマルカ(Cajamarca)州の一帯に非常事態宣言を発令した。

 ペルー北部カハマルカ州のカハマルカ郡、セレンディン(Celendin)郡、ワルガヨク(Hualgayoc)郡、コントゥマサ(Contumaza)郡に対し、現地時間5日午前0時から60日間の非常事態が宣言された。現地では労働者たちのストライキが11日目に突入していた。

■地元の産業支える湖水の扱いで対立

 地元の反対を招いている中心にあるのは、標高3700メートルの現地周辺でニューモントが進める48億ドル(約3740億円)規模の露天採掘事業「コンガ・プロジェクト」。これには周囲にそびえる山の上にある4つの湖からニューモントが造る貯水池へ湖水を移動する計画が含まれているが、反対派は、貯水池では湖の代わりは果たせないと抗議している。

 この地域はペルー有数の農業、牧畜地帯で、これらの湖水は農業用の地下水や牧草地用のかんがいにも使用されている。

 コンガ・プロジェクトを推進するウマラ政権と、反対派のあつれきは高まっている。10月には副環境相のホセ・デ・エチャベ(Jose De Echave)氏が、同事業の環境的負荷を警告した報告書について「根拠が弱く時代遅れで信頼性がない」と酷評した後に辞任した。

 労働者のストライキを支持する現地の自治体関係者らは、ウマラ大統領にカハマルカ州を訪問するよう繰り返し要請してきたが、同政権で現地を訪れたのはこれまでサロモン・レルネル(Salomon Lerner)首相など4閣僚に留まっている。

 非常事態宣言の発令により、当局は軍を出動して対象地域を制圧できるほか、集会や移動の自由など市民の憲法上の権利を一部停止することができる。(c)AFP