【12月4日 AFP】イタリア政界で改革が行われる中、カナダの農学教授が、誤ってイタリアの次期農林副大臣に指名される騒動があった。同教授が3日、明らかにした。

 カナダ・オンタリオ(Ontario)州のゲルフ大学(University of Guelph)でデリバティブ(金融派生商品)を教えるフランチェスコ・ブラガ(Francesco Braga)教授(53)は11月28日、イタリアのオンライン新聞で、自分が農林副大臣に指名されたとの記事を発見した。

 ブラガ氏は28年前に母国イタリアを離れていて政党にも所属していなかったが、その記事には「業界からの肯定的なコメント」が寄せられていたという。

 続いて、イタリア農林省から電子メールでイタリアに来るようブラガ氏に要請があり、さらに祝電メッセージが大量に届いた。さらに、マリオ・カターニア(Mario Catania)新農林相までもブラガ氏を称えるコメントを出した。

 妻に「イタリアの友人たちの悪ふざけではないか」と言われたものの、イタリア政府からの就任式出席要請を受けたブラガ氏は、旅行の準備を始めた。

■農業専門家ではなく地震専門家、農林省ではなくインフラ省?

 その後、イタリア政府の最高レベルで何度かのやりとりがあった末に、ブラガ氏に「ミスがあった」ことが告げられた。

 ブラガ氏のポストには本来、ローマ(Rome)のラ・サピエンツァ大(Sapienza University)の地震専門家、フランコ・ブラガ(Franco Braga)教授(土木工学)が指名されるはずだったというのだ。

 しかもフランコ・ブラガ氏は、イタリアの新インフラ・運輸相にインフラ省の次官に指名されていた。

 だが、ブラガ氏のポストは農林省に用意されてしまった。インフラ省次官に指名されるものと考えていた地震専門家のフランコ・ブラガ氏は、自分のポストに不満を持ったとみられ、就任式典には出席しなかったという。

「ばかげたミスだよ。イタリアの崩壊を救わなきゃいけないメンバーなのに、バラバラみたいだね」と、カナダのフランチェスコ・ブラガ氏は述べ、笑いながらこう付け加えた。「アグリビジネス(農産業)に詳しいエコノミストではなく、耐震設計を専門にする土木工学専門家が農林省ポストに赴任したら、イタリアのアグリビジネスにとっても悲しい日になるね」

(c)AFP

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