【12月2日 AFP】欧州連合(EU)は1日、シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領が反体制派への弾圧を続けている問題で、対シリア経済制裁を強化することを決めた。

 EUは、アサド政権に入る資金の流れを止めるため、シリアへの天然ガス・石油産業関連機器の輸出とシリア政府債の取引を禁止するほか、市場でシリアに提供されているより金利が低く、猶予期間が長い新規の融資は行わない。

 また、市民のインターネット監視や通話の盗聴に使われる恐れのあるソフトウェアの輸出を禁止し、EU域内の資産凍結と渡航禁止の対象に個人12人と11の組織を追加する。

 ベルギー・ブリュッセル(Brussels)で1日に会議を開いたEU加盟国の外相らは、アラブ連盟(Arab League)のナビル・アラビ(Nabil al-Arabi)事務局長と昼食会を兼ねて会談し、シリア問題でアラブ連盟と協調する姿勢を示した。

■弾圧の死者4000人超える

 一方、シリアの人権団体によると、政府軍による市民弾圧は続いており、1日にはホムス(Homs)、ハマ(Hama)、ダルアー(Daraa)では市民16人が死亡し、20人以上が拘束された。

 国連のナバネセム・ピレイ(Navanethem Pillay)人権高等弁務官(UN High Commissioner for Human Rights)は、反政府デモが始まった3月中旬以降の犠牲者は4000人に達したと述べたが、弾圧の情報が次々と寄せられていることから、実際の死者数はもっと多いだろうとの見方を示した。(c)AFP/Laurent Thomet