南スーダン、帰還民の再定住進まず 「敵意」にも直面
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【11月29日 AFP】南スーダンの独立は北部のスーダンから数千人の帰還を促したが、新しいより良い生活への希望はついえようとしている。多くの帰還民たちが、いまだに、帰還民のための一時収容キャンプで日々生きていくのがやっとという生活を送っているのだ。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が帰還民支援のために中部レイク州ルンベク(Rumbek)に建設したキャンプでは、れんがやビニールシートに覆われた小屋に60家族が暮らしている。3か月前にスーダンの首都ハルツーム(Khartoum)から再定住を求めて来たものの、南スーダン政府から土地が与えられず、キャンプでの滞在期間は延びる一方だ。また、帰還民の大量流入により、生活環境はますます悪化している。
国際移住機関(International Organisation for Migration、IOM)によると、2010年10月以来、南スーダンに帰還した南スーダン人は34万人以上にのぼる。レイク州だけで、この1年間に推定1万7000人以上が帰還した。
関係当局によると、北からの帰還民の多くは、雇用確保や法的地位への不安から帰還を決意した。スーダン政府は、7月9日に南部が南スーダンとして独立したのを機に、同国に住む南スーダン人に対し、9か月以内に帰還するか正規のスーダン国民になるよう通達を出していた。
■人口の半分が貧困層
スーダンと南スーダンの間では戦闘が勃発し、緊張が高まっていることもあり、各支援団体は帰還民の再定住に向けた取り組みを強化している。
今月10日には南スーダンの難民キャンプが空爆され、少なくとも11人が死亡する事件があった。国際社会はスーダン政府を強く非難したが、同政府は関与を否定している。
スーダンと南スーダンは、いまだに、国境線の画定や歳入・債務の配分で合意できていない。南スーダンは豊富な石油埋蔵量を誇るが、スーダン政府から長年顧みられてこなかったこともあり、公共サービスやインフラが整備されていない。世界銀行(World Bank)によると、南スーダンの人口800万人のうち半数以上が貧困生活を送っている。
■地元民からの敵意も
ルンベクの当局者は、帰還民の再定住を進めるために2年間は無償で土地を貸与する考えを示した。
南スーダンで生活を一から始める困難とは別に、地元民の反感に直面する帰還民もいる。20年以上続いた北部との内戦中に北部の軍や警察に所属していればなおさらだ。
ある帰還民は「まずは居を定めて、国の発展に積極的に貢献していきたい」と話した。(c)AFP