【11月14日 AFP】ロシアのドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領は12日、野田佳彦(Yoshihiko Noda)首相が北方領土問題での新たな対話の開始を求めたことに対し、「政治よりも先に経済を」との考えを示した。

 アジア太平洋経済協力会議(Asia Pacific Economic CooperationAPEC)首脳会議の開かれた米ハワイ(Hawaii)で行われた日露首脳会談で、両国首脳は北方領土問題をめぐる「穏やかな議論」を呼び掛けたが、一方で立場の違いが明確になった。

 メドベージェフ大統領は首脳会談後の会見で、北方領土やロシア極東地域への日本の投資を期待すると述べた。「われわれの立場は非常に単純明快だ。問題をめぐってドラマを作るべきではなく、穏やかな議論を続けるべき、というものだ。経済を優先し、政治はその後に続くべきだと信じている。これが一般的に正しいやり方である。なぜならば、われわれの生活を決定しているのは経済であり、政治はしばしばそれを悪化させるものだからだ」と語った。

 9月に首相に就任したばかりの野田首相は会見で、メドベージェフ氏に幅広い課題での協力を呼び掛けた一方で、北方領土問題を進展させるために、ロシア側の取り組みも必要だと述べ、「両国は異なる見解を有しているが、日本は、静かな環境のもとで問題解決に向けて実質的な議論を行いたいと考えている」と語った。(c)AFP/Shaun Tandon