【11月11日 AFP】国外での戦闘中に死亡した米軍要員の遺体安置所となっている米空軍基地で、遺体の一部がなくなるなど「粗雑な管理」があったとして、レオン・パネッタ(Leon Panetta)米国防長官は10日、遺族らに謝罪した。

 米国外で戦闘中に死亡した米軍要員の遺体は全て、デラウェア(Delaware)州にあるドーバー空軍基地(Dover Air Force Base)に移送され、身元確認の後、遺族に引き渡される手続きに入る。同基地では2003年以降、イラクとアフガニスタンでの戦死者を中心に6300人以上の遺体を受け入れてきた。

 しかし今週8日、ノートン・シュワルツ(Norton Schwartz)米空軍参謀総長は、同基地内からの内部告発に基づいて空軍が調査した結果、「遺体2体の一部」が失われるなどの問題が明らかになったと発表した。

■遺体欠損、遺族に無断で切断も

 同基地に勤務する3人から、遺体が不適切な扱いを受けているという告発が当局に最初にあったのは前年のこと。報じられている空軍の調査結果によると、陸軍兵士1人の遺体の片方の足首から先がなくなっていた他、F15戦闘機の墜落で死亡したパイロット2人のうち1人の遺体の一部も欠損していた。また、路肩の仕掛け爆弾で死亡した海兵隊員の葬儀を準備していた安置所作業員が、遺体に制服を着せるために、腕から突き出ていた上腕骨を遺族に無断でのこぎりで切断した例も発覚した。

 シュワルツ参謀総長によると、空軍では内部告発者保護制度を管轄する連邦政府の特別法務官室(Office of Special CounselOSC)による制約で、前週まで該当する遺族に問題が伝えられていなかったという。

 これに対し、OSCのキャロライン・ラーナー(Carolyn Lerner)室長は公営ナショナル・パブリック・ラジオ(NPRNational Public Radio)で、シュワルツ参謀総長の説明は「明らかな誤り」で、OSCでは3月の時点で、遺族への通知を空軍に勧告したと反論している。

■告発者に度重なる報復

 空軍の公式発表から2日が経過した10日、議会で質問責めに遭ったレオン・パネッタ(Leon Panetta)米国防長官は、マイケル・ドンリー(Michael Donley)空軍長官に同問題に関する再調査と、基地の監督責任者3人に対する処分の再検討を行い、報告するよう命じたことを明らかにと発表した。責任者3人は懲戒処分を受けたが、免職にはなっていない。
 
 またパネッタ長官は、問題を告発した3人が監督官らの報復の対象となったとの報告がある点についても、空軍に調査を求めたいと述べた。OSCが現在調査しており、完了次第、空軍長官が結果を検討することになっているという。OSCによると、3人のうちの1人が不当解雇されそうになるなど、無数の報復が行われていたとみられる。

 パネッタ長官は、自身が同問題に関して最初に報告を受けたのは就任した7月で、当時はまだ空軍が調査中だったと弁明。遺族が前週まで通知を受けていなかった事実は自分も知らなかったと述べるなど、混乱した様子を見せたものの、「遺体を適切に扱っていなかったとすれば、責任は国防総省にある」として遺族に謝罪した。(c)AFP