【11月11日 AFP】北朝鮮の国営朝鮮中央通信は10日、論評の中で、国産の原子炉の稼動を近く開始すると発表した。

 この論評は、米国と韓国が北朝鮮経済はほとんど崩壊状態だと示唆したことを冷笑する内容で、中で「国産の資材と技術のみで建設した軽水炉が北朝鮮で稼動を開始する日は近い」と反論している。軽水炉稼動の日程には触れていない。

 北朝鮮は約1年前の2010年11月12日、米国の科学者からなる視察団が寧辺(Yongbyon)の核関連施設を訪問した際、ウラン濃縮作業が行われているとみられる施設を公開している。

 視察団に参加した米ロスアラモス国立研究所(Los Alamos National Laboratory)の元所長、ジークフリート・ヘッカー(Siegfried Hecker)氏は、建設の初期段階にあった25~30MW級の実験用軽水炉を見せられたと報告している。

 ヘッカー氏は視察報告書の中で、軽水炉の稼動は2012年を目指しているが、これは明らかに「楽観的すぎる」日程だと指摘している。また視察団はウラン濃縮施設にも案内された。同施設には遠心分離機2000基が設置されており、その用途は新しい軽水炉用に低濃縮ウラン燃料を製造することだと説明されたという。

 ヘッカー氏はどちらの施設も民間用の原子力発電を意図したもののようだと語っているが、ウラン濃縮施設は容易に、核爆弾の製造が可能な高濃縮ウラン製造施設に転換でき、軽水炉もプルトニウム製造が可能だ。

 北朝鮮に対し、同国の核計画をめぐる6か国協議再開の条件として米国やその同盟国は、ウラン濃縮施設の閉鎖を求めてきた。しかし北朝鮮は、無条件での同協議再開を主張している。(c)AFP