【10月10日 AFP】ベルギー政府は10日、フランス・ベルギー系金融大手デクシア（Dexia）のベルギー国内部門デクシアバンク・ベルギー（Dexia Bank Belgium）を40億ユーロ（約4100億円）で買い取り、デクシアの不良資産の受け皿となる「バッドバンク」のコストをフランスと分担することでフランス政府と合意に達したと発表した。

　3か月前に欧州の銀行ストレステストに合格していたデクシアだが、欧州債務危機で金融大手として初めて解体されることになる。

　かつてベルギーとフランスで最大の銀行の1つだったデクシアが解体されることで、ギリシャなど欧州の辺縁部を中心としていた債務危機の影響が欧州の中心部に及んだ形になった。

■預金は全額保護

　デクシアの取締役会とベルギーの閣議が行われた後に会見したベルギーのイブ・ルテルム（Yves Leterme）首相は、デクシアバンク・ベルギーはベルギー政府に譲渡されることによって「親会社のデクシアSA（Dexia SA）内部の環境に起因するあらゆるリスク」から解放されると語った。

　さらにルテルム首相は、「各家庭は口座の預金が安全であることを確信してよい」と述べ、「納税者が過剰な負担を強いられることはない。リスクはコントロールされている」と語った。

　ベルギーのディディエ・レインデルス（Didier Reynders）財務相は同じ会見で、デクシアバンク・ベルギーの買収額40億ユーロは「妥当だ」と述べるとともに、デクシアグループの解体後に不良資産を引き受けることになる「バッドバンク」の資産について、ベルギー政府が60.5％（540億ユーロ、約5兆6000億円）まで保証すると述べた。

■仏・ベルギー・ルクセンブルクが政府保証

　ベルギー財務省が出した声明によると、デクシアバンク・ベルギー譲渡後のデクシアの資産900億ユーロ（約9兆4000億円）にはベルギーが60.5％、フランスが36.5％、ルクセンブルクが3％の政府保証を付ける。世界的な金融危機が始まった2008年にデクシアを救済した際の保証額は1500億ユーロ（約16兆円）だったが、このときも同比率で3国が保証を付けた。

　報道によると、フランスは同国政府債務の「AAA」格付けの引き下げリスクを回避するため、ベルギーにさらに大きな責任を求めていたという。

　7日には、米大手格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービス（Moody's Investors Service）が、デクシアの救済措置などを理由に、ベルギー政府債務の格付けを引き下げ方向で見直すと発表していた。

　デクシアは短期金融市場からの資金調達に大きく依存していたが、政府債務危機をめぐる懸念を受け、資金調達が困難になっていた。(c)AFP/Aurelie Mayembo