【9月28日 AFP】今月ニュージーランドで開催された太平洋諸島フォーラム(Pacific Islands ForumPIF、加盟16か国・地域)の年次首脳会議に域外参加した中国と米国の間で、中国が強化している太平洋地域への援助や投資について、諸外国と協力して行うよりも中国独自に進めることを望んでいると中国側に明言されたと、カート・キャンベル(Kurt Campbell)米国務次官補(東アジア・太平洋担当)が語った。

 PIF首脳会議で中国代表団は、「自分たちの取り組みの成果を分かち合うことには、とりたてて関心がない」と説明したという。

 米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)とコンサルティング会社オックスフォード・アナリティカ(Oxford Analytica)が共催した会議でキャンベル次官補は、「われわれの中国の友人たちは丁寧かつ率直に、それぞれが投資を行い、それぞれが2国間関係の中で見返りを手にすればよいと言った」と語った。
 
 アジアの大国として急成長する自国経済のために天然資源を求めている中国は10年ほど前から、発展途上国向けの援助や投資を強化してきた。それらは政治的な「ひも付き」でないことが一般的だ。

 豪ローウィー国際政策研究所(Lowy Institute for International Policy)が4月に発表した研究によると、中国が2005年以降に拠出を表明した太平洋地域向けの金額は総額6億ドル(約460億円)に上っており、近い将来、太平洋の島しょ国が重い債務負担に直面する恐れもあると警告している。
 
 しかしキャンベル次官補は、中国が持つ国際的な関係は増えているにもかかわらず中国指導部の戦略的野心の範囲は限定的だと指摘し、「状況をグローバルに見た時に興味深いのは、彼ら(中国)の活動の政治的、戦略的理由づけ全般がいかに未熟かということだ」と述べた。

 中国は長年、国際社会の承認をめぐり台湾と争ってきたが、親中路線の馬英九(Ma Ying-jeou)氏が台湾総統に就任した2008年以降は、両者間の緊張は緩和している。それと入れ替わるように、中国は気候変動や人民元の為替水準など、孤立を避けたい少数の問題に限って国際関係強化に力を入れている。(c)AFP