【9月22日 AFP】国連(UN)総会で21日、争点となっているパレスチナの国連加盟申請について、米国のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領は演説の中で、和平の「近道」になることはないと警告し、イスラエルとの直接交渉しか中東和平をもたらすものはないとの主張を鮮明にした。
 
 オバマ大統領は演説で「何十年も続いている紛争を終結させるための近道などないと確信している。国連における声明や決議によって、和平がもたらされることはないだろう。それほど簡単なことであれば、今ごろ達成されているはずだ」と述べた。そして、イスラエルとパレスチナの両者が交渉の席に着き、「両者を隔てている問題、境界線や治安問題、(パレスチナ)難民やエルサレム(の帰属問題)について合意を達成すべきだ」と改めて強調した。

 オバマ大統領は、パレスチナが国連総会に加盟申請を提出した場合に、米国が拒否権を発動する可能性に触れることはなかった。しかし、多くの関係筋は、米国が拒否権を発動すれば、民主化を求める蜂起などですでに揺らいでいる中東情勢が、さらに荒れることを懸念している。

 一方、フランスのニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領はパレスチナに対し、すぐに国連への正式加盟を期待することは非現実的だと述べながらも、正式加盟へ向けた中間的段階として、オブザーバー資格の付与という代案を示した。また今後1か月以内に交渉を再開し、1年以内に最終合意に達するという、欧州連合(EU)案を叩き台にした和平交渉の新たな進行予定を打ち出した。

 さらにサルコジ大統領は「(国連)常任理事会で拒否権が発動されることがあれば、中東で暴力の連鎖が生じるリスクを考えない者がいるだろうか」と米国をけん制した。通常、米国が主導する中東和平プロセスが、欧州やアラブ諸国を無視して飛び越えることがあってはならないとも述べた。

 その他、各国代表の演説では、ブラジル、レバノン、南アフリカなどがパレスチナの加盟申請に支持を表明したが、すべて非常任理事国だった。(c)AFP/Tim Witcher