【9月20日 AFP】米国のティモシー・ガイトナー(Timothy Geithner)財務長官は19日、20日出版の新刊で紹介され、政治が重要局面を迎えている中でホワイトハウス(White House)の経済チームにきまりの悪い注目を集めることになった「ちょっと悲しい話」に反論した。

「ウォール街とホワイトハウスの隠された話」と宣伝されている、米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street JournalWSJ)の記者だったロン・サスカインド(Ron Suskind)氏の新著「Confidence Men」(信任の男たち)は、2009年の米経済危機下のオバマ政権の緊迫した日々を追う内容。

 その中でサスカインド氏は、ガイトナー長官らがときに、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領の指示をわざとゆっくり実行したと主張している。この本を読んでいないというガイトナー長官は、「私がこれまでに読んだこの本についての記事に書かれていたことは、われわれが過ごした現実とは少しも似ていない」と語った。

 オバマ大統領の指示をガイトナー長官ら政府高官が「ゆっくりと」処理している、との苦情が書かれたホワイトハウスのメモとされるものについてのサスカインド氏の著述についてガイトナー長官は、「私はそのようなことは絶対にしない。私はこれまでの人生を公務に費やしてきた。この大統領のもとで働くことを光栄に思っている。私がそのようなことをしようと考えたりすることは絶対にない」と述べた。

 オバマ大統領の4470億ドル(約34兆円)の雇用対策案と、新たな赤字削減計画に全力に取り組んでいるホワイトハウスは、この本の執筆に協力し、着席してのオバマ大統領とのインタビューもサスカインド氏に許可したほどだった。

 だが、ジェイ・カーニー(Jay Carney)大統領報道官は19日、「この本は、日付、引用、統計など、確認のとれる非常に単純な物事や事実に間違いがある。ある一節などはほとんど丸ごとウィキペディアから持ってきたとみられる」「そういったことを正しく取り扱えないのに、より大きな分析を正しく行えると考える人がいれば注意を促したい」と述べてサスカインド氏の著作の信頼性に疑問を投げかけた。(c)AFP