【9月13日 AFP】2012年米大統領選に向けた共和党の候補者たちによる米CNNの討論会が12日、米フロリダ(Florida)州で行われた。候補者指名争いをリードするリック・ぺリー(Rick Perry)テキサス(Texas)州知事が、米国の社会保障政策をめぐり、最大のライバルであるミット・ロムニー(Mitt Romney)前マサチューセッツ(Massachusetts)州知事と激突した。

 高齢有権者の厚い層を抱え、2012年大統領選の重要州になると予想されているフロリダ州で、共和党の候補者8人がステート・フェア会場で行われた討論会に出席した。前月の立候補表明後すぐに指名争いのトップに躍り出たペリー氏は、米社会保障制度(Social Security)を失敗した「うそ」だと発言。これに対してロムニー氏は、極端な発言で間違いだと批判した。

「いいかい、これは壊れた制度だ」とペリー氏。同制度の大半は高齢の国民への支払いにあてられているが、ペリー氏は、米国の社会保障政策である給付金制度の改革について「ちゃんとした議論をすべきときだ」と主張した。

 一方、実業家で富豪でもあるロムニー氏はペリー氏の発言について、高齢者たちを驚かせるような発言だと批判。「(ペリー氏が発言した)ネズミ講という言い方は度を超している」と述べ、社会保障制度が「失敗」で「違憲」だとするペリー氏の考えは、主流から外れすぎていると指摘した。

 これにペリー氏は「私より前にも多くの人が社会保障制度をネズミ講と呼んできた」と反論。「誰も立ち上がって声を上げる勇気がなかっただけだ。どのように改革するのか説明しよう」「アメリカの労働力人口の若者たちが、自分たちにうそをつかなかった人もいたんだと分かるように修復するつもりだ」と訴えた。

■世論調査ではペリー氏優勢

 12日に公表された米国人を対象としたCNNとORCインターナショナル(ORC International)の世論調査では、共和党候補としてペリー氏を支持すると答えた人は30%、ロムニー氏を支持すると回答した人は18%だった。また、誰がバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領に勝利する可能性があるかとの質問には、ペリー氏が42%、ロムニー氏が26%だった。

 2012年1月31日から始まる重要州の予備選挙の中でも、フロリダ州は共和党にとっての岐路になるとみられている。フロリダ州の政治情勢を扱っている保守系ブログ「シャークタンク(Shark Tank)」の編集者は、「フロリダ州は共和党の予備選と総選挙にとって決定的要因となるだろう」と語る。

 フロリダ州は、米国で増えている中南米系米国人の力が強い。彼らの多くは政府支出の削減を求めている。その一方で退職後の生活場所として知られるフロリダ州は高齢有権者の割合が全米で最も高く、ある統計によれば州の人口の3分の1にも上る。そのため、各候補者たちの社会保障制度への発言は重要な判断材料となる。

 討論会に出席した他の6候補も、指名争いに残ろうと政治的影響力を誇示しようとした。

■政治的重要性を増すフロリダ州

 14か月後に選挙を控えた今、共和党と民主党はともにフロリダ州での勝利に向けて準備を進めている。フロリダ州は人口1880万人を抱え、大統領選で勝利するために必要な270人の「大統領選挙人」のうち29人を持つ。これは大統領選挙の結果を決めることの多い激戦州(スイングステート)8~12州の中で最も多い。

 共和党が2012年8月に大統領候補を指名する全国大会をフロリダ州タンパ(Tampa)で開催することを決めたことも、同州の政治的重要性が増していることを示している。

 フロリダ州では民主党員が共和党員を70万人ほど上回っているが、上述の政治ブログ「シャークタンク」の編集者は、党員の組織化は共和党の方が進んでおり、選挙結果では民主党を上回る可能性があると述べた。(c)AFP/Paula Bustamante