【9月3日 AFP】トルコのアフメト・ダウトオール(Ahmet Davutoglu)外相は2日、駐トルコ大使などトルコに駐在するイスラエルの2等書記官以上の全ての職員に遅くとも7日までに帰国するよう求めるとともに、両国間の全ての軍事協定を停止すると発表した。

 パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)に向かっていた6隻の支援船団に加わっていたトルコのフェリーが、2010年5月31日にイスラエル軍に急襲され、フェリーに乗っていた9人が射殺された事件に関する国連(UN)の調査報告書の一部を1日の米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が掲載したことを受けた措置。

 ジェフリー・パーマー(Geoffrey Palmer)元ニュージーランド首相が率いる国連の調査委員会がまとめた報告書は、イスラエルが海上封鎖海域から十分に離れた場所で最終的な警告なしにフェリーに乗り込んだのは過剰で非合理的だったと指摘した一方、船団側は無謀にも海上封鎖を正面突破しようとした上、フェリーに乗っていた人々がイスラエル軍に組織的な暴力的抵抗をしたと指摘した。

 トルコ、イスラエル双方が報告書の最終版に合意しなかったため報告書の提出は数回にわたって延期され、ようやく2日なって国連の潘基文(Ban Ki-moon)事務総長に提出された。トルコはイスラエルが謝罪し、犠牲者の補償を行わない限り両国関係の正常化はないと繰り返し表明しているが、イスラエルはこれを拒否している。

 国連の調査委員会は、イスラエルに「適切な遺憾の意の表明」と犠牲者の遺族に補償金を支払うよう呼びかけている。あるイスラエル高官は、報告書の正式公表後にイスラエルは一定の留保をつけて報告書を受け入れるだろうと語り、ニューヨーク・タイムズが掲載した報告書の文言によると、パレスチナの領海内でイスラエルが海上封鎖したことは合法だと国連も認めていると強調した。

 かつてトルコはイスラエルと定期的に合同軍事演習を行うなど、イスラム世界のなかではイスラエルと最も密接な関係を保っていたが、公正発展党(Justice and Development Party)が政権をとった2002年以降、両国関係は一貫して悪化してきた。トルコはフェリーが襲撃された直後に駐イスラエル大使を召還していたが、今回さらに両国の外交関係は引き下げられることになった。米国務省のビクトリア・ヌランド(Victoria Nuland)は、トルコとイスラエルはともに古くから米国の友好国だと指摘し、両国に良好な2国間関係を築くよう呼び掛けた。(c)AFP/Fulya Ozerkan

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