保釈中の艾未未氏が米誌に寄稿、「北京は悪夢」
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【8月31日 AFP】4月から約3か月間にわたって中国当局に身柄を拘束されていた著名芸術家、艾未未(アイ・ウェイウェイ、Ai Weiwei)氏(54)が、保釈後初めて外国の雑誌へ寄稿し、この中で北京(Beijing)という都市は「悪夢」だと表現し、中国の司法制度は信用できないと批判した。
国際的に知名度の高い艾未未氏は中国共産党に対する辛辣(しんらつ)な批判で知られるが、今年4月上旬に拘束され、6月に保釈された。拘束理由は脱税容疑だと説明した中国当局に、国際的な非難が巻き起こった。
艾氏は米誌ニューズウィーク(Newsweek)最新号への寄稿で、自らの出身地である北京について「北京の最悪な部分は司法制度を信用できないことだ。信用なくして確かなものなど何もない。まるで砂嵐のようだ。この街の人や建物や街並みのことではない。精神構造のことだ・・・北京は悪夢だ。絶えず続く悪夢だ」と記している。
また艾氏は拘束されている間、「基本的な権利が否定された」名前の与えられない制度の中においては、自分も単なる番号としてしか存在しないことを悟ったと述べ、「あなたが消えれば、家族だけは声をあげてくれるだろう。しかし、この街の地域社会からも当局からも、それどころか裁判所や警察や国家の長といった当局の上のレベルからさえも、答えを得ることはできない。妻はこうした請願書を毎日書き続け、毎日警察に電話した。夫はどこにいるのでしょうか? 居場所だけでも教えてくださいと。何の文書も、何の情報もなかった」
今回の寄稿が中国当局をさらに不快にするリスクはあるが、保釈後の艾氏は既に米マイクロブログのツイッター(Twitter)に、反体制活動家らに対する当局の措置を批判する投稿を行っている。これらは保釈条件に違反しているとみられる。
同氏は保釈後1年間、北京市外へ移動することを禁じられているが、人権擁護団体などはこの措置について、中東の民衆蜂起が中国へ飛び火することを恐れる当局が政府に批判的な人びとに対して行っている広範囲な弾圧の一環だと非難している。(c)AFP