【8月25日 AFP】米国防総省は24日、中国の軍事力に関する議会への年次報告書で、中国が海軍力の増強を図っており、自国の影響の範囲を太平洋からさらに広く拡大するためにハイテク兵器にも投資していると述べた。同報告書は、こうした進展から、かつては遅れをとっていた技術面での他の大国との差は、2020年までに埋まるだろうと指摘している。

 米国防総省によると、中国は空母を攻撃できる対艦ミサイルの開発製造を強化し、レーダーの捕捉能力や衛星技術を向上させ、原子力潜水艦や原子力空母の配備を増やし、サイバー戦争も進化させている。報告書は「中国の経済的および戦略地政学的な権益の進化は、中国政府の海事戦略観を根本的に変化させた」と述べている。

 また中国の指導者たちは依然、台湾との軍事衝突が起こる可能性に構えているが、他方で人民解放軍の位置づけを拡大し、中でも海軍をその重要な要素とみなしている。「指導部は同海軍に対し、広範囲に及ぶ中国の権益を保護する役割を担うよう明確に指示している」と報告書は述べている。

 米軍司令官たちの懸念は、中国の軍事進出によって、太平洋における米国の長年の軍事的優位性が脅かされる可能性だ。また米高官らは、南シナ海周辺諸国との領有権問題をめぐる中国の強引な戦略も批判している。

 マイケル・シファー(Michael Schiffer)国防副次官補は、南シナ海地域での中国海軍のプレゼンスの拡大は「周辺諸国とのライバル関係や力関係に影響を与える」と報道陣に語った。(c)AFP/Dan De Luce