【8月24日 AFP】ロシアを訪問している北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記(69)は24日、ロシアのドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領(45)と会談した。

 金総書記はロシアからエネルギーと食糧に関する支援を取り付けようとしたものとみられる。また金総書記は北朝鮮が6か国協議に復帰できれば、核実験と使用済み核燃料の再処理を一時停止する用意があると表明した。

 金総書記は、武装した特別列車で極東とシベリア(Siberia)を4日かけて巡る異例の旅を経て、23日にウランウデ(Ulan Ude)に到着した。金総書記がロシアを訪問したのは過去10年間でわずか3度目。前回は2002年に極東のウラジオストク(Vladivostok)で当時のウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と会談した。

 ロシア政府は北朝鮮側が示した安全上の懸念に理解を示し、金総書記の旅程など、今回の訪問に関する情報を事実上完全に統制した。24日の会談が行われたのはウランウデ郊外ソスノヴイ・ボール(Sosnovy Bor)市にある軍施設で、金総書記はナンバープレートのない1990年代に製造された黒いベンツで到着した。

■エネルギーと食糧支援、核問題

 会談後の会見でメドベージェフ大統領は、北朝鮮を経由してロシアのガスを韓国へ供給するパイプラインの計画に、北朝鮮の支持が得られたと述べた。

 飢餓の危機に瀕する北朝鮮は、ロシアに一層の経済援助と食糧支援を求めている。金総書記の訪ロを控えた19日、ロシア政府は北朝鮮に最大5万トンの穀物を送ると発表していた。

 ロシア政府は、今回の会談で6か国協議再開について「大きな関心」が払われるだろうと発表していた。会談後にロシア政府の報道官は、北朝鮮は前提条件なしで6か国協議に復帰する意図があると金総書記が首脳会談で表明したと発表し、「北朝鮮は交渉の過程で、核実験と使用済み核燃料再処理の一時停止の問題を解決する用意がある」と述べた。

 北朝鮮は以前から前提条件をつけずに6か国協議を再開することを呼びかけていたが、韓国は北朝鮮はまず核関連の活動を停止すべきだと主張していた。

■対ロ債務についても協議か

 一方、ロシアのセルゲイ・ストルチャク(Sergei Storchak)財務次官は首脳会談に先立ち、北朝鮮の対ロ債務の問題も首脳会談で取り上げられる可能性があると述べていた。ストルチャク次官は報道陣に、総額は110億ドル(約8400億円)に上ると述べ、まず最初のステップは北朝鮮が旧ソ連を継承したロシアに対する債務があることを認めることで、返済方法についての合意はその後だと述べたが、北朝鮮が債務の存在を認めるかどうかは分からないと付け加えていた。(c)AFP/Maria Antonova