【8月23日 AFP】ミャンマー政権は、同国の民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)さんら体制批判者に歩み寄ることで、国際社会で孤立した国というイメージを拭い去ろうとしている。だが、政権が実質的な改革を行うかどうかは依然、不透明なままだ。

 新政権には、選挙に立候補するために軍籍を離れた者が多い。形の上では非軍事政権であるミャンマー政権は、スー・チーさんと親密な関係を築こうと最近になってさまざまな手を打っている。

 スー・チーさんは19日、首都ネピドー(Naypyitaw)で、テイン・セイン(Thein Sein)大統領と初めて会談した。会談の申し出にはスー・チーさん本人も驚いた。1時間に及んだ2人の会談の詳細は明らかになっていないが、専門家は政権にとって大きな一歩だと指摘する。

 タイのシンクタンク「Vahu Development Institute」のアウン・ナイン・ウー(Aung Naing Oo)氏は、政権は、軍部ではなく自分たちが国の責任者であることを示したいのだと語る。同氏は、「彼らは国のために良いことをやっていると見られたがっている。そしてなにより、文民政府であることを示したいのだ」と述べ、背後にどんな思惑があるにせよ、会談はミャンマー政府と反政府勢力が和解する上で「極めて重要だ」と指摘した。

■次々と歩み寄り姿勢示す「非軍事政権」

 スー・チーさんはこの数週間で、ヤンゴン(Yangon)で労相兼交渉担当相と2度にわたって会談し、首都で大統領と会談し、ヤンゴン市外に出て支持者数千人を前に遊説した。ミャンマー当局はさらに、前年の総選挙をボイコットして解党したスー・チーさんの国民民主連盟(National League for DemocracyNLD)に、合法政党として登録するよう呼びかけてさえいる。

 また新政権は、国連(UN)人権理事会(Commission on Human Rights)の特別報告者、トマス・オヘア・キンタナ(Tomas Ojea Quintana)氏と政府高官との協議を1年ぶりに再開することを決めたほか、少数民族の反政府勢力にも和平交渉を呼びかけている。

 この動きについて、米国を拠点とするミャンマーの研究者、ウィン・ミン(Win Min)氏は、反政府勢力への政権の対応に改善が見られたとはいえ、「新たな門出なのか、それとも空疎なジェスチャーなのか」を判断するのは時期尚早だと指摘する。「(新政権は)反政府勢力の一部の活動を容認し、開発問題について反政府勢力と協力することで、地域や国際社会に受け入れられたいと考えている」

 軍部の政治的代弁者であるミャンマー政権は、次期総選挙の1年前にあたる2014年に東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国となることを目指している。ある専門家は、ミャンマー政府は総選挙を前にASEAN議長国としての威信を手にしたいと考えているが、過去半世紀近くにわたって軍事独裁政権が支配したミャンマーで政治的自由や少数民族武装勢力との和解といった根本的な改革を進めるには、長い時間がかかるだろうと述べた。(c)AFP/Kelly Macnamara