【8月20日 AFP】進化論は「少々ずれた学説」で、気候変動は「科学者たちのデータねつ造だ」――米テキサス(Texas)州のリック・ぺリー(Rick Perry)知事は、2012年米大統領選に向けた共和党候補者指名争いへの出馬を約1週間前に表明した後も、時に問題となるほどの保守的見解を和らげるそぶりもない。

 最近の遊説でペリー氏が繰り出したこうした発言は、共和党内の支持層を固めることはあっても、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領の相手にはならないだろうと、シカゴ大学のジョン・ブレーム(John Brehm)教授(政治学)は批評する。「こうした発言をすればするほど、米国の主流からは受け入れがたい人物に見え、逆に共和党の活動家たちにとっては好ましい人物に映る」という世論と共和党との乖離が生じるという。

 しかし、そんな批判をものともしないペリー氏は、次々と発言を繰り返す。15日にはアイオワ(Iowa)州の遊説先で、米連邦準備制度理事会(FRB)のベン・バーナンキ(Ben Bernanke)議長が、来年の選挙までに量的緩和策に踏み切るとしたらそれは「反逆行為だ」と述べ、「アイオワの皆さんがどうするかは分からないが、(ペリー氏の地元)テキサスではただではおかないだろう」と述べた。これには民主党政権だけだなく、共和党内からも批判が吹き出したが、ペリー氏は釈明も謝罪もしていない。

 2日後の17日には、ニューハンプシャー(New Hampshire)州での朝食の席で「自分たちの研究に資金を呼び込みたいがために、大勢の科学者がデータを操作していると思う」と述べ、地球温暖化に疑義を呈した。

 翌日も同州ポーツマス(Portsmouth)で、「地球は何歳か」と質問した少年の肩に手を置き、「君のお母さんは進化論について聞きたいみたいだね。そういう説もあるが、少々ずれている。テキサス州では、天地創造説と進化論の両方を教えているよ。君は十分、賢いから、どちらが正しいか分かるだろうね」と語りかけた。

 天地創造説を信じる人は米国人全体では10人に4人だが、共和党員に限ると実に半分を超える。また地球が温暖化しているという事実に疑いを抱く米国人は増えており、2003年には人間の活動が気候温暖化を招いていると考える人は米国人の約6割だったのが、最近のギャラップ(Gallup)の調査では半数となっている。
 
 共和党の予備選候補者の支持率調査によると、ペリー氏はミット・ロムニー(Mitt Romney)前マサチューセッツ州知事をじりじりと追い上げている。ロムニー氏はモルモン教徒であることと、比較的、穏健派であることから、党内の保守層の支持を得ていない。

 RealClearPolitics.comの調査では、超保守派の草の根運動「ティーパーティー(Tea Party、茶会)」が推すミシェル・バックマン(Michele Bachmann)下院議員の9.6%を抜いて、ペリー氏の支持率は18.4%で、20.2%のロムニー氏に迫っている。(c)AFP/Mira Oberman

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