【8月16日 AFP】米アイオワ(Iowa)州デコラ(Decorah)で開かれたバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領の野外対話集会で15日、会場から批判の声を上げた保守派草の根運動「ティーパーティー(Tea Party、茶会)」活動家に対してオバマ氏が反論するという、2012年米大統領選の前哨戦とも言える出来事があった。

 茶会メンバーとオバマ大統領との衝突は、オバマ氏が演説の終わりにさしかかった夕刻どきに起きた。オバマ大統領が政治にも礼儀正しさが必要だと語ったことに対し、アイオワ州の茶会グループのリーダー、ライアン・ローズ(Ryan Rhodes)氏が「あなたの副大統領が私のようなティーパーティーメンバーを『テロリスト』呼ばわりしている」と叫び、そのような状況では礼儀正しい政治の実現など無理だろうと批判した。

 米債務引き上げ問題をめぐり8月上旬に行われた下院民主党議員との私的な会合で、ジョー・バイデン(Joe Biden)副大統領がそういった発言をしたと報道されていた。

■大統領と「活気に満ちた」言葉の応酬

 オバマ氏は「だれもがレトリックをトーンダウンすべきというのには全面的に賛成する」と語った上で、自身が保守派から浴びせられた過激な批判を挙げた。「公正を期すために言うと、私は社会主義者で、米国生まれでなく、アメリカを破壊し、医療保険改革法を成立させてアメリカから自由を奪ったと批判されている。私はレトリックを抑制することに全面的に賛成だ」

 集会後オバマ氏が参加者にあいさつする際も、2人の間に「活気に満ちた」言葉の応酬があったという。ローズ氏はイベント後に記者団に対し、オバマ氏は本当に社会主義者だと思うと語った。

 この日はオバマ大統領が3日間で3つの州を回るバス遊説ツアーの初日だった。オバマ大統領は米景気回復が遅いことに不安と焦りを感じる国民に親身になる姿勢を示して、傷ついた政治的立場を建て直したい考えだ。

 13日に同州で行われた共和党候補の指名争いの模擬投票で、茶会で最も人気があるミシェル・バックマン(Michele Bachmann)下院議員を支持したローズ氏は、アイオワ州の茶会運動を始めた人物とみられている。(c)AFP