終身大統領こそチャベス氏の狙い、服役中の元盟友が糾弾
このニュースをシェア
【8月1日 AFP】ベネズエラのウゴ・チャベス(Hugo Chavez)大統領は「壊滅状態にある」国で「終身大統領」にならんとしている――。チャベス大統領のかつての盟友で、現在は汚職の罪で服役中のラウル・イサイアス・バドゥエル(Raul Isaias Baduel)元国防相(56)がこのほど、獄中からのAFPの独占インタビューでチャベス氏を厳しく批判した。
バドゥエル氏は退役軍人で、2006~07年に国防相を務めた。しかし在職中に公金を横領し権力を濫用したとして逮捕され、2010年、禁錮7年11月の有罪判決を受けて首都カラカス(Caracas)郊外のラモベルデ(Ramo Verde)刑務所に服役している。
しかし、監房内でAFPの独占取材に応じたバドゥエル氏は、自分はチャベス政権を去ったために政治的迫害の犠牲者になったのだと主張した。
■「真の民主主義」誓った仲
「1982年、わたしとチャベス氏は、真の民主主義のために休まず活動し続けることを誓い合った。だが、チャベス氏はその誓いを忘れる決断をし、代わりに、壊滅状態にあるベネズエラで終身大統領で居続けようと努力し始めたのだ」
2人は、かつて極めて近しい間柄だった。出会ったのは40年近く前、エリートの集う軍士官学校だ。そこで彼らは「より良い民主主義を創り出すために共に行動する」と誓い合ったという。チャベス氏が1999年に政権を獲得すると、将軍職を退役したバドゥエル氏は政権に参画。2002年4月の軍事クーデター未遂事件の際には、チャベス政権を維持するため先頭に立って奔走した。
だが、その後、2人の関係は冷え始めた。そして2007年、チャベス大統領の提案した社会主義化を進める新憲法案にバドゥエル氏が反対したことで、関係は完全に断絶した。
「2002年4月、わたしは職務をまっとうし、憲法に忠実だった。2007年、わたしは再び、ものごとが良くない方向へかじを切ったことを指摘しなければならないと感じた」
■「国民を裏切るくらいなら1人の男を裏切る」
政権を去ったバドゥエル氏は、汚職容疑で訴えられ、2010年5月に実刑判決を受けた。正当な法的手続きが無視され、罪状の説明は一度もされなかったと同氏は主張する。「わたしが横領したとされる金額すら、一致していなかった」
バドゥエル氏の監房の壁には、いくつかの宗教画と、南アフリカの反アパルトヘイト運動の象徴、ネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)氏の写真が飾られていた。
「逃げることもできたが、とどまることをわたしは選んだ。なぜなら、わたしは無実だからだ。彼らはわたしを裏切り者と糾弾した。だが、何の裏切りだ?誰に対する裏切りだ?1人の男への裏切りか?数百万人の国民を裏切るくらいなら、わたしはそちらを選ぼう」
「今わたしは、かつてわたしが知っていた男は、わたしに嘘をついていたのだと考えている。チャベス氏は常に、密かな計略を隠し持っていたのだ」とバドゥエル氏は述べ、かつての友人が率いる現政権を「個人崇拝」に彩られた「偽装された独裁」と批判した。
■「独裁」への抵抗呼びかけ、がん発病は「神の力」
バドゥエル氏は、ベネズエラ国内の状況を「調圧弁のついていない圧力鍋」と形容し、国民にデモを行うよう呼び掛けた。一方で、チャベス大統領が権力の座から去ったとしてもベネズエラが直面する諸問題は消えないとの認識も示した。
ベネズエラは来年に大統領選挙を控えている。3期目の当選を目指すチャベス大統領は先日、がん性腫瘍の摘出手術を受けたことを認めた。バドゥエル氏は、3選に向けて政治的に有利になると踏んでチャベス氏が自分に恩赦を与える可能性も考えられると発言。昔の盟友の健康問題について、次のように語った。
「彼は神の力の前に屈し、生きることの価値を思い知らされたのだ」 (c)AFP/Beatriz Lecumberri
バドゥエル氏は退役軍人で、2006~07年に国防相を務めた。しかし在職中に公金を横領し権力を濫用したとして逮捕され、2010年、禁錮7年11月の有罪判決を受けて首都カラカス(Caracas)郊外のラモベルデ(Ramo Verde)刑務所に服役している。
しかし、監房内でAFPの独占取材に応じたバドゥエル氏は、自分はチャベス政権を去ったために政治的迫害の犠牲者になったのだと主張した。
■「真の民主主義」誓った仲
「1982年、わたしとチャベス氏は、真の民主主義のために休まず活動し続けることを誓い合った。だが、チャベス氏はその誓いを忘れる決断をし、代わりに、壊滅状態にあるベネズエラで終身大統領で居続けようと努力し始めたのだ」
2人は、かつて極めて近しい間柄だった。出会ったのは40年近く前、エリートの集う軍士官学校だ。そこで彼らは「より良い民主主義を創り出すために共に行動する」と誓い合ったという。チャベス氏が1999年に政権を獲得すると、将軍職を退役したバドゥエル氏は政権に参画。2002年4月の軍事クーデター未遂事件の際には、チャベス政権を維持するため先頭に立って奔走した。
だが、その後、2人の関係は冷え始めた。そして2007年、チャベス大統領の提案した社会主義化を進める新憲法案にバドゥエル氏が反対したことで、関係は完全に断絶した。
「2002年4月、わたしは職務をまっとうし、憲法に忠実だった。2007年、わたしは再び、ものごとが良くない方向へかじを切ったことを指摘しなければならないと感じた」
■「国民を裏切るくらいなら1人の男を裏切る」
政権を去ったバドゥエル氏は、汚職容疑で訴えられ、2010年5月に実刑判決を受けた。正当な法的手続きが無視され、罪状の説明は一度もされなかったと同氏は主張する。「わたしが横領したとされる金額すら、一致していなかった」
バドゥエル氏の監房の壁には、いくつかの宗教画と、南アフリカの反アパルトヘイト運動の象徴、ネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)氏の写真が飾られていた。
「逃げることもできたが、とどまることをわたしは選んだ。なぜなら、わたしは無実だからだ。彼らはわたしを裏切り者と糾弾した。だが、何の裏切りだ?誰に対する裏切りだ?1人の男への裏切りか?数百万人の国民を裏切るくらいなら、わたしはそちらを選ぼう」
「今わたしは、かつてわたしが知っていた男は、わたしに嘘をついていたのだと考えている。チャベス氏は常に、密かな計略を隠し持っていたのだ」とバドゥエル氏は述べ、かつての友人が率いる現政権を「個人崇拝」に彩られた「偽装された独裁」と批判した。
■「独裁」への抵抗呼びかけ、がん発病は「神の力」
バドゥエル氏は、ベネズエラ国内の状況を「調圧弁のついていない圧力鍋」と形容し、国民にデモを行うよう呼び掛けた。一方で、チャベス大統領が権力の座から去ったとしてもベネズエラが直面する諸問題は消えないとの認識も示した。
ベネズエラは来年に大統領選挙を控えている。3期目の当選を目指すチャベス大統領は先日、がん性腫瘍の摘出手術を受けたことを認めた。バドゥエル氏は、3選に向けて政治的に有利になると踏んでチャベス氏が自分に恩赦を与える可能性も考えられると発言。昔の盟友の健康問題について、次のように語った。
「彼は神の力の前に屈し、生きることの価値を思い知らされたのだ」 (c)AFP/Beatriz Lecumberri