【7月29日 AFP】米下院は28日夜、同日中に予定されていた共和党提出の財政赤字削減法案の採決を延期した。共和党内でも、いっそうの赤字削減を主張する草の根保守派運動「ティーパーティー(Tea Party、茶会)」の支持を得ている議員らが反対する姿勢を変えなかったためだ。

 共和党のジョン・ベイナー(John Boehner)下院議長は同日、14兆3000億ドル(約1110兆円)の債務上限を2段階にわたって引き上げ、少なくとも半年はデフォルト(債務不履行)を回避できる案への支持を求めて個別に共和党議員の説得を続けたが、一部の議員が反対の姿勢を貫いたため採決の延期に追い込まれた。党内の支持を拡大するため、共和党は法案の修正を模索するとの報道もある。

 もっとも、法案が下院を通過したとしても、民主党が多数を占める上院で否決される可能性が高い。連邦債務の上限を引き上げなければデフォルトになる恐れがあるとされる8月2日は来週に迫っているが、事態打開の糸口は見えない。

 マーケットには米国でデフォルト回避に向けた合意ができなければ経済危機が訪れかねないとの緊張感が漂い、米国の行方に神経質になっている投資家心理を反映して29日の香港(Hong Kong)、シドニー(Sydney)、上海(Shanghai)、台北(Taipei)の株式市場は全て値を下げた。(c)AFP/Emmanuel Parisse

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