【7月23日 AFP】米下院共和党が、14兆3000億ドル(約1120兆円)の米連邦債務の上限引き上げをめぐるバラク・オバマ(Barack Obama)大統領との交渉のドアを閉じたことを受け、ある米政府高官は、米国が債務削減に本気に取り組まなければ、米国債の格下げも現実味を帯びると語った。

 米連邦債務を3兆~3兆5000億ドル(約236兆~275兆円)削減する10年計画が交渉の焦点になっていたが、共和党のジョン・ベイナー(John Boehner)下院議長は下院議員に宛てた書簡の中で、オバマ大統領が高額所得者と企業への増税を主張を変えなかったため、交渉から離脱すると述べた。

 ある米政府高官は匿名を条件に、巨額の米連邦債務は大きな問題だと指摘し、債務上限の引き上げの失敗ではなく、米国が債務削減に向けた本格的な行動をとらないことを理由として、米国債が格下げされるという現実的な見通しがある、と語った。

 格付け会社のスタンダード&プアーズ(Standard and Poor'sS&P)とムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody's Investors Service)は、8月2日までに連邦債務の上限を引き上げることで与野党が合意に達しなければ、米国債を格下げする可能性があると発表している。

 オバマ大統領はベイナー氏の交渉離脱の決断を批判し、8月2日の期限までに残された時間は少ないとして、23日午前11時(日本時間24日午前零時)にホワイトハウス(White House)で緊急交渉を行うよう有力議員らに求めた。(c)AFP