【7月13日 AFP】ドイツ人の圧倒的多数が、財政赤字を減らす方策として、現政権が約束している減税よりも一層の緊縮財政が望ましいと考えていることが、8日発表された世論調査の結果で明らかになった。

 調査は、世論調査機関インフラテスト・ディマップ(Infratest-Dimap)が今月4~5日に行い、1005人から回答を得た。「減税と緊縮財政のどちらが大切だと思いますか?」との質問に、70%が「緊縮財政」と回答。「減税」と答えたのは24%だった。

 アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は、減税幅は未定だが、総選挙が行われる2013年から減税を実施すると宣言している。今回の結果は、減税への強い疑念と、恐らくはユーロ圏の債務危機をめぐる全般的な不安感を表している。

■減税の約束を「信用していない」は62%

 ドイツの今の財政事情を考慮すると減税は好ましくないと回答したのは49%で、減税を支持すると答えたのは48%だった。

 また、政府の約束通りに2013年から減税が行われると確信しているのはわずか36%で、政府の約束を信用していないと回答したのは62%だった。

 減税が実施された場合、家計が「大いに助かる」と考えている人はわずか2%で、「いくらか足しになる」と答えたのは52%、「全く足しにならない」は45%だった。

 ユーロ圏の財政危機の国々に対し最大の財政支援を行っているドイツは、6日に発表した2012年の予算案の中で、堅実な経済成長のため財政赤字が当初予想の315億ユーロ(約3兆5000億円)から272億ユーロ(約3兆円)へ激減すると予測した。

 一方で、メルケル政権の支持率は、連立政権の内輪もめ、そしてエネルギー政策やユーロ圏債務危機をはじめとする様々な懸案事項で明確な方向性が示されていないとの認識により、37%まで落ち込んでいる。(c)AFP