【7月4日 AFP】ホテルの女性従業員への性的暴行罪などで米ニューヨークで起訴されたものの、被害女性の供述が信用性に欠けるとして自宅軟禁を解かれた国際通貨基金(IMF)前専務理事のドミニク・ストロスカーン(Dominique Strauss-Kahn)被告をめぐり、再び仏大統領選への出馬の可能性が取りざたされている。

 仏日曜紙ジュルナル・デュ・ディマンシュ(Le Journal du Dimanche)は3日、ストロスカーン被告の訴追は取り下げになるとみて、「ドミニク・ストロスカーンの驚異的な復活」との見出しで今後の展望を報じた。

■国民の半数近くが政界復帰を容認

 性的暴行スキャンダルに見舞われるまでIMF専務理事の地位にあり、仏政界の有力者だったストロスカーン被告は現在、足首に装着されていた監視装置も外され、次回審理を待っている。

 ストロスカーン被告が逮捕・起訴された当初は、フランスのイメージが損なわれたとの声も多かった。だが、3日発表の世論調査では、仏国民の49%がストロスカーン被告の政界復帰を認めると答えている。反対は45%だった。

 前回調査でも60%が、事件は時期大統領選でニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領の強力な対立候補と目されていたストロスカーン被告を陥れようとしたでっち上げだと考えていた。

■どうなる、社会党の大統領選候補

 一方、政界ではストロスカーン被告の政治生命は終わったとの見方が大勢となり、最大野党・社会党(Socialist PartyPS)は、同被告の代わりにマルチヌ・オブリ(Martine Aubry)第1書記を大統領選候補に立てる可能性を示唆していた。

 だが、1日の審問後に被害者供述の信ぴょう性への疑問からストロスカーン被告の軟禁が解かれたことで、同党の大統領選候補をめぐる動きは再び予測のつかない展開となった。オブリ第1書記は3日、自身の出馬の可能性についても含みを残しつつ、ストロスカーン氏が大統領選への出馬を表明しても「誰も反対はしない」と断言した。

 世論調査でサルコジ大統領の最も有力な対抗馬とみなされているフランソワ・オランド(Francois Hollande)元第1書記や、同じく出馬を狙うセゴレーヌ・ロワイヤル(Segolene Royal)元社会党大統領候補も、候補者選出に関する党スケジュールに変更があっても構わないとの見方を示した。

 仏国民の多くも、数週間にわたって世間をにぎわせてきたストロスカーン被告のセックススキャンダルをめぐる新展開に、どう対処すべきか決めかねている状況だ。(c)AFP/Deborah Pasmantier