【7月2日 AFP】モロッコで1日、国王の権限縮小などを盛り込んだ憲法改正案の国民投票が行なわれ、ムーライ・タイエブ・シェルカウィ(Moulay Tayeb Cherkaoui)内相は同日夜、98%の賛成多数で承認されたと述べた。

 シェルカウィ内相によると、94%の投票所から報告を受けた時点で、98%が憲法改正案を承認した。投票率は72.65%で、今回の国民投票が若年層に支持されていたことを反映し、同内相によると投票した人の30%が35歳未満だった。

 モロッコを含む中東・北アフリカ各地で民主化を求める抗議行動が起きたことを受け、モロッコのシディ・モハメド6世(Sidi Mohammed VI)国王は前月、国王の権限の一部を首相と議会に委譲するとした憲法改正案について国民投票を実施すると発表していた。

 憲法改正案によると、国王はモロッコの元首、軍の最高指導者、モロッコにおけるイスラム教の最高指導者としての地位にはとどまるが、議会で最大の議席を持つ政党から選ばれる首相が政府のトップになる。憲法改正案は首相の権限強化のほか、司法の独立の強化や議会の役割の拡大も定めている。また国王を「神聖」とする記述も削除した。

 また、憲法改正案は女性の権利の拡大や、一部の地域で古くから話されているベルベル語をアラビア語とならぶ公用語とすることも定めた。モロッコでベルベル語に公的な地位が認められたのは初めて。

 憲法改正案は数週間前から街頭に出ていっそうの民主化を求める抗議行動を行っていた多くの人々が求めていた完全な立憲君主制にはいたらない内容で、デモ参加者らは1日の国民投票のボイコットを呼びかけていた。(c)AFP