【6月20日 AFP】国際原子力機関(IAEA)の天野之弥(Yukiya Amano)事務局長は20日、ウィーン(Vienna)で開幕したIAEA閣僚級会合の冒頭で演説し、東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所事故により「原子力エネルギーへの人びとの信頼は深く揺らいだ」と述べた。

 また、天野事務局長は「今後数日、世界がわれわれを注視するだろう」と述べ、「原子力エネルギーは多くの国々にとってこれからも重要でありつづける」と付け加えた。

「原子力事象に国境は意味を持たない。だからこそ原子力の安全のためには国際的な対策が不可欠なのだ」「これまで通り、というのは選択肢には無い」(天野事務局長)

 IAEAは、加盟151か国に配付予定の報告書で、福島原発事故後の日本の対応、特に緊急事態におけるIAEAの規定に従って日本が行動しなかったことを批判している。IAEAの規定では、原子力事故などが起きた国とIAEAが、コミュニケーションやセキュリティーの面で協力する上での規則が定められている。

 報告書は、さきごろ日本を訪れたIAEA調査団の報告に基づいて作成された。すでに発表されている報告書の素案は、日本が原発に対する津波の危険性を過小評価したことなどを指摘する一方で、日本政府の震災対応を「称賛すべき」と評価していた。(c)AFP