【5月10日 AFP】国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の最高指導者、ウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者がパキスタンに何年にもわたって潜伏できたのは、同国政府の協力かあるいは無能さのなせるわざだとの批判に対し、パキスタンのユサフ・ラザ・ギラニ(Yousuf Raza Gilani)首相は9日、「ばかげた」批判だと否定し、この問題の徹底的な調査を約束した。

 ビンラディン容疑者が殺害されてから初めてパキスタンの議会で演説したギラニ首相は、パキスタン軍の最高司令官がこの公式調査を率いると述べた。

 また、ギラニ首相は、米国がパキスタン政府に通告することなくアボタバード(Abbottabad)に潜伏していたビンラディン容疑者の急襲作戦を行ったことを批判し、「単独行動主義は、深刻な結果をもたらす危険のあるものだ」と警告した。パキスタン国内では、米軍の作戦への批判が高まっている。

 これに対し、米国のジェイ・カーニー(Jay Carney)大統領報道官は「パキスタン政府の声明と懸念を深刻に受け止める。だが、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領とわれわれのとった行動について謝罪はしない」と述べた。

 さらにカーニー報道官は、「オバマ大統領は、自らにその作戦を命じる権限があり、そうしなければならない責務も負っていたと確信している」と述べ、オバマ大統領は必要があれば、パキスタン国内にいるテロ指導者たちに再度同様の行動をとる権利を留保すると語った。

 パキスタン政府が拘束しているビンラディン容疑者の妻3人はアルカイダの重要情報を持っている可能性もあるが、米政府はパキスタン政府への不信を払しょくするためにも、米捜査官による3人への面会を認めるよう求めている。

 米軍のビンラディン容疑者殺害作戦の際に脚を撃たれた同容疑者の妻のイエメン人女性は、パキスタンの取調官に対し、ビンラディン容疑者が家族とともにアボタバードに5年間暮らしていたと供述したと報じられている。(c)AFP/Nasir Jaffry